大脳基底核と運動の関わり

Frontiers in Parkinson Diseaseに「歩行の制御と障害のメカニズム」 (高草木薫, 3(3) : 150-153, 2010.)が掲載されている。
 要旨は、「大脳基底核の出力は, 大脳皮質に作用することで運動の開始や精緻運動など運動の随意的側面を, そして, 脳幹に作用することにより姿勢や筋緊張, 歩行や嚥下など定型的なパターン運動を調節する. したがってパーキンソン病では, これらの運動機能の障害が出現する。
 歩行運動には3つの側面がある. 第一の側面は正確な制御を必要とする随意的な歩行動作である. 歩行の開始や障害物を回避する足の動きがこれに相当する. この随意的な歩行のプロセスには大脳皮質と大脳基底核(以下, 基底核), そして小脳から構成される認知ループと運動ループの活動が必要である.
  第二の側面は捕食や逃避, 逃走などの情動行動である(情動的プロセス). 大脳辺縁系(以下, 辺縁系)や視床下部から脳幹への投射系がこれに関与する. 情動行動では, これを誘発する信号の種類にかかわらず歩行や筋緊張の亢進など定型的な運動パターンが誘発される.
 随意運動も情動行動も,歩行におけるリズミカルな四肢(手足)の運動やその際の姿勢制御には脳幹・脊髄における感覚一運動統合が必要であり,このプロセスは無意識かつ自動的に遂行される(自動的プロセス)。これが第三の側面であり,生得的なパターン運動(嚥下・咀嚼・サッケードなど)もこれに含まれる。」と述べている。
 嚥下機能に注目すると、大脳基底核が嚥下反射に影響を及ぼすことはすでに報告されている。また、挺舌時tremorを示す患者がいるが、大脳基底核による影響が考えられる。となると、短絡的であるが、嚥下反射とtremorの有無・程度は関連があるのかという疑問が出てくる。可能であれば、関連性を調べていきたい。 
 

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