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3月, 2012の投稿を表示しています

IT機器と医療

ナーシングビジネス に「 医療 現場における携帯電子端末の活用の現状と今後の可能性 」(高尾洋之5(9): 786-790, 2011. )が掲載されている。 要旨は「医療現場で, IT技術を使用したさまざまな取り組みが行われている. 近年, 注目されているiPadやAndroidタブレットなどのIT機器を用いた外科手術への応用, 在宅医療への活用, 医学教育, 研修医教育, 患者さんへの説明での応用などである. 医療現場でのIT技術の活用は, 費用の面からなかなか進まないのが現状であった. しかし, IT医療システムに対して多額の投資をしても, それに十分見合うアプリケーションや活用方法が報告されている . 大きなIT医療システムの代表が, 電子カルテや画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication Systems)である. 」であると述べている。 最近、感じることとして医療関係者のIT機器活用が増加したと思う。SNS活用と併せることで、遠隔地にいてもリアルタイムで情報の共有が可能になり、質の高い医療に貢献できると考えられる。しかし、一方で文中でも述べられている「セキュリティに保護されなければならない個人情報の問題」は大きな問題である。個人情報漏洩問題は、どこの医療機関でも対策しなければいけない課題と言える。 そのため、PCウイルス対策以外にも、スマートフォンへのウイルス対策も検討する必要があると言える。病院内PCへUSB等へ個人情報を記録しないことは徹底されていても、自分のスマートフォンへ個人情報を記録する人はいると思われる。その際、ウイルス対策が不十分だとスマートフォンから個人情報が漏洩する可能性がある。常にIT機器を使用するということは、個人情報とつながっているという認識を持つことが重要と思われた。                 

栄養ケア症例

JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATIONに「 苦労した栄養ケア症例(1)中心静脈栄養例 」( 若林秀隆 16(6): 528-532, 2007.)が掲載されている。 内容のポイントは「Q&A  81歳,女性.パーキンソン病,誤嚥性肺炎を呈した患者へ,  Q1栄養アセスメントの結果は?身体計測:BMI18.1, %TSF77%, %AMC85%, 検査値:Alb2.7, TLC525, Hb9.4より混合型中等度の栄養障害と判断した. 1日摂取エネルギー量は末梢静脈栄養の1,130kcalで, Harris-Benedictの式による計算値の1,408kcalに対して278kcalの不足と判断した. 1日必要エネルギー量は, 基礎エネルギー量(978)×活動係数(1.2)×ストレス係数(1.2)より1,408kcalと計算した.  Q2栄養ケアプランの内容は?1日1,400kcalを目標とした. 当初は経口摂取のみであったが, 誤嚥性肺炎を再発し, 十分な水分・栄養摂取が見込めず, 胃瘻造設の許可は得られなかったため, 経鼻経管栄養を併用した. 経管栄養時の胃食道逆流が問題となり, チューブ先端の空腸留置や固形化・半固形化栄養を行ったが, 改善がみられないため, 中心静脈栄養を選択した.」と述べている。   Harris-Benedictの式はよく1日必要エネルギー量を算出するために使用されるが、文中にもあるように「 モニタリングで摂取エネルギーの過不足が見込まれる場合,計算値にこだわらず増減する .」   また、併用してリハビリテーションを実施する必要があることは文中に「 機能訓練を行わずに過栄養とした場合,筋肉ではなく脂肪が増加する. 」と述べている。リハビリテーション職種で嚥下訓練に携わるのは主にSTが多いと思われるが、主治医、栄養士、PTとも連携し嚥下機能、栄養状態、運動療法内容をよく検討することが重要と考えられた。 現在、リハ栄養が話題となっているが、これまでの文献からもリハ栄養に対する知見が得られるため検索する習慣を持つことが大切と思われた。

タイトル変更しました。

新規一転です。新しい環境でまた、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします!

NHCAP:Nursing and Healthcare-associated pneupneumonia

Geriatric Medicineに「 高齢者肺炎 」(関雅文, 河野茂, 楽木宏実 49(1): 115-120, 2011.)が掲載されている。              要旨は「日本における肺炎診療は, 高齢者社会の到来による誤嚥性肺炎の増加や, 膠原病や腎不全などの基礎疾患による感染リスクの増大など新たな問題に直面している. 高度先進医療, すなわち臓器移植や侵襲の大きい手術による日和見感染の増加は大きな問題となっている. また, 多くの抗菌薬の登場が, 抗菌薬の過剰使用につながり, 数々の耐性菌を生じさせることとなった.」と述べている。                    文中でNHCAPについて述べられている。元々は医療ケア関連肺炎(Health care-associated pneumonia:HCAP)と呼ばれ,米国よりその概念が紹介された一連の肺炎群であり、単に市中肺炎と院内肺炎の中台に位置する概念と考えられていた。しかし、市中肺炎の形式で,救急外来などから入院することも多くみとめられている。そのため、院内肺炎に準じて治療すべきものと考えら れている。しかし、日本独自の高齢化に伴う肺炎が問題になり、 NHCAP(医療・介護関連肺炎:Nursing and Healthcare-associated pneumonia )ができた。今後、NHCAPによる治療・リハビリ研究が進んでくると考えられた。

摂食・嚥下機能の低下した人に提供する食事

ニュートリションケア に「 摂食・嚥下機能の低下した人に提供する食事 」(栢下淳 , 山縣誉志江, 田村佳奈美7: 682-689, 2011.)が掲載されている。  要旨は、栄養管理は, 病態に合わせ投与するエネルギー量や各種栄養素の適切な量を決め, 嗜好性などを加味して個人対応で行っています. 管理栄養士は, この適切な栄養素量を決めるための知識は豊富に有しています. しかし, 嚥下障害者に提供する嚥下調整食(以下, 嚥下食)は, 栄養素量とは異なり, 物性の知識が必要となります. ここでの物性とは, 食品のかたさや口のなかでのまとまりやすさなどです. 今までに, 多くの食品で物性に関する研究が行われ, 食品関係の書物にも多く記述されています. しかし, この 食品の物性と嚥下障害者に適する物性との関連についての研究は, 少ないのが現状 です. 」と述べている。  文中に「 特別用途食品嚥下困難者用食品許可基準 」が紹介されている。許可基準の範囲はⅠ~Ⅲまであり、概ね許可基準Ⅰは嚥下食ピラミッド L0 に、許可基準Ⅱは嚥下食ピラミッド L1 とL2 を合わせたものに、許可基準Ⅲは嚥下食ピラミッドL3 に相当するとのことであった。主に固さによる分類として「 ユニバーサルデザインフード 」があり、もし患者・利用者に説明する場合両方の違いを理解しておくことが大切と思われた。実際、食事形態について詳細な内容を養成校で習うことは少なく現場で自ら学ぶ姿勢が重要と考えられる。そのため、摂食嚥下障害に携わるセラピストは 積極的に栄養士と連携をとり凝集性、付着性等についての知識を学ぶ必要があると思われた。               

急性期病院の役割・連携・在宅リハビリテーションの取り組み

癌と化学療法 に「 急性期病院の役割 ・連携・在宅リハビリテーションの取り組み 」( 若林 秀隆, 36): 5-7, 2009.)が掲載されている。                要旨は、「 急性期病院の役割は在宅で食べることのサポートであり, その一つに嚥下評価入院がある . 5日間の入院で嚥下造影, 喉頭ファイバーの他, 歯科・医科協働で多職種による評価を行い, 退院時に指導内容を記載した用紙を本人・家族や主治医などに渡している. 地域連携として横浜南部地域一体型NSTと神奈川摂食・嚥下リハビリテーション研究会を立ち上げた. スムースな連携のためにNST(嚥下)施設間連絡票を作成し運用している. 年数回の連絡会と懇親会や, 地域内の嚥下相談窓口, 訪問STなどの情報把握と共有を行っている.  リハビリテーション科医師, ケースワーカー, PT, OTが自宅に訪問し, 摂食・嚥下機能や栄養状態を含めた身体・精神機能だけでなく, 家屋状況, 家族の介助能力, 社会参加などを含めて総合的に評価, 介入している.」と述べている。  ポイントは、文中の「 経口摂取にはこだわるが,経口摂取のみにはこだわらないようにする。 」の箇所と考えられる。経口摂食により、嚥下機能、腸管運動、栄養状態の改善が期待できる。しかし、経口摂食のみにこだわると経口摂食、誤嚥性肺炎の時期が重なった場合、禁食となり下手をすれば入院中に再発予防のため二度と経口摂食の機会が与えられない可能性がある。   そのため、適切な評価が重要になるが、適切に実施することで「 嚥下評価入院の結果,摂食・嚥下グレードが変更となった患者が多かったことより,嚥下評価入院は有用と考える 」結果になる。私も適切な評価ができるように自己研鑽していきたい。                                  

介護老人福祉施設における口腔ケア・マネジメントの効果

老年歯科医学 に「 介護老人福祉施設における口腔ケア・マネジメントの効果 」花形哲夫,田村文誉,菊谷武,片桐陽香,関野愉,久野彰子,古西清司,高橋幸裕,矢島彩子,吉田光由,鷲見浩平,三塚憲二23,4,2009)が掲載されている。 要旨は「本調査は,介護老人福祉施設における歯科衛生士による口腔ケア・マネジメントの有効性を明らかにすることを目的とした。対象は,山梨県にある介護老人福祉施設に入居中の要介護高齢者142名で,A施設は82名(平均年齢85.9±7.5歳),B施設は60名(平均年齢85.6±8.3歳)である。調査期間は8ヵ月で,初回,4ヵ月後,8ヵ月後において口腔衛生状態の視診と口腔内細菌数の測定を行った。A施設では,歯科衛生士による口腔ケアの直接的介入を対象者20名に対して行い,他の対象者に対しては口腔ケアに関する情報提供と相談のみ行った。B施設では,歯科衛生士が口腔ケア・マネジメントの手法を用い,すべての対象者に対して個々のスクリーニング,アセスメントに応じたケアプランをたて,施設職員とともに口腔ケアの介入を行った。また今回の口腔ケア介入終了時に各施設職員へ意識調査のアンケートを行い,施設間の比較を行った。 本研究の結果より, 口腔ケア・マネジメントは,施設の状況,歯科衛生士の介入方法などを含めて全員に対してプランをたてていくことで効果がある ことが示され,本介入調査により口腔ケア・マネジメントの重要性が確認された。」と述べている。 昨日、菊谷先生の講演会に参加したが、口腔ケア実施前よりも実施後の方が口腔内細菌が多いことを話していた。そのため、口腔ケア後の処理を誤ると「口腔ケア性肺炎」につながる可能性があるとのことであった。予防方法としてしっかり吸引することが重要と説明していた。施設のみならず、病院でも口腔マネジメントをできる人材はまだまだ必要な印象を受ける。少なくとも現在、施設・病院内で口腔ケアに携わる者は、誤った方法で実施しないよう常に情報収集を心がけることが大切と思われた。                   

東京都在宅緩和ケア支援センター講演会に参加して

昨日、「 東京都在宅緩和ケア支援センター講演会 」に参加した。第一部講演は「市谷のマザー・テレサ」こと秋山正子先生の講演であった。私は秋山先生の御高名は存じていたが、実際に講演を聞くのは初めてであり、講演会でがん患者が地域で生活するための連携等を聞けて大変参考になった。今回その秋山先生の執筆文紹介である。  JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATIONに「 がん患者の在宅でのQOL向上 ―リハを生活の場で実現するために 」(秋山正子 18(10): 905-910, 2009. )が掲載されている。  要旨は「 昨年の夏, ホスピスケアの先駆者であるシシリー・ソンダースが開いたセントクリストファーホスピスをはじめ, ロンドン, ヨークとイギリスのホスピス緩和ケアの研修に参加する機会を得た. その折に見聞したなかで驚いたことは, ホスピスのデイサービス部門にリハビリテーション(以下リハ)プログラムが充実しており, 実際にマシンを使ってトレーニングをしているがん患者に出会ったり, リハスタッフが骨に転移して歩きづらい患者に, どのように身体を動かしたら負担なく動作が可能であるかなどとアドバイスしていることであった . また, がん患者, 特に就労している比較的若い患者が利用しやすいように夕方からのプログラムや早朝からのプログラムも考えられていた. そのほか, 就労を続けやすくするための社会サービスの上手な使いかたや, さまざまな援助システムの情報やアドバイスなどを受けられるように, ケースワーカーや臨床心理士の配置もなされていた.」 と述べている。  読んでみると、3年前よりがんとリハビリテーションの関わりについて触れているにも関わらず、今頃関心を持つようになった自分の勉強不足を痛感する次第である。今回の講演会では患者さん、訪問看護、在宅医、緩和ケア病棟との連携を述べられていたが、そこにリハビリテーション職種はどのように関わっていったのか興味があった。文中ではリハ職種に期待される役割として、「 がん患者に対する症状コントロールの手段である疼痛コントロールや呼吸苦に対しての体の動かしかたやリラクゼーション,呼吸リハの手法を用いたスクイージング,各部位のリンパ

Preventive strategies for aspiration pneumonia in elderly disabled persons.

The Tohoku Journal of Experimental Medicineに「 Preventive strategies for aspiration pneumonia in elderly disabled persons .」(Takashi Ohrui2005 Sep;207(1):3-12.)が掲載されている。 論文は以下のサイトより閲覧可能である。 http://www.jstage.jst.go.jp/article/tjem/207/1/3/_pdf abstract Pneumonia is the fourth leading cause of death despite the availability of potent new antimicrobials in Japan. Aspiration of oropharyngeal bacterial pathogens to the lower respiratory tract is one of the most important risk factors for pneumonia. Impairments in swallowing and cough reflexes among disabled older persons, e.g., related to cerebrovascular disease, increase the risk of pneumonia. Thus, strategies to reduce the volumes and pathogenicity of aspirated material should be pursued. Since both swallowing and cough reflexes are mediated by endogenous substance P contained in the vagal and glossopharyngeal nerves, pharmacologic therapy using angiotensin-converting enzyme inhibitors, which decrease substance P catabolism, can impr

嚥下障害のリスクマネジメント

栄養-評価と治療 に「 栄養管理中に遭遇するリスクとその対策―病態別リスクマネージメント― (7)嚥下障害 」( 藤谷順子 27(2): 135-137, 2010.)が掲載されている。               要旨は「嚥下障害はさまざまな要因で起こり, 入院中の高齢者では生じやすい. また, 全身状態や栄養状態が悪いと肺炎を起こしやすい. 嚥下障害が軽症であれば食事内容(形態)の調整と食べ方の指導, 中等症であれば上記に加えて喀出訓練や嚥下機能訓練, 併用栄養方法の検討, 重症であれば非経口栄養での十分な栄養補給と嚥下機能訓練を検討する. 嚥下障害発見までの栄養摂取量の実績の確認も重要である. 嚥下障害はさまざまな要因で起こる. たとえば脳卒中では急性期には50%以上に嚥下障害が生じるが, 遷延するのは20%以下との報告がある. しかし実際には, 脳卒中の急性期管理には嚥下障害は想定されているので, 多くの場合, 適切な対応が行われている. むしろ, 食事摂取量不足から栄養管理介入が必要になったような症例で評価してみると, 嚥下障害があり, それが食事摂取量の制限要因になったり, 肺炎のリスクとなったりする症例は, それまでそれなりに摂食していた高齢者・超高齢者に多い . 」と述べている。  文中で、脳血管疾患の嚥下障害に対しては、「治療体系が整いつつある」と述べており理由として、「全身状態が比較的良好であり、嚥下障害の要因が麻痺によることが多い」と説明している。しかし、それ以外の嚥下障害者については、障害やパターンが異なるため、「包括的対応が必要」なことを述べている。実際、経験上であるが嚥下障害のため、誤嚥性肺炎を発症し廃用により更に嚥下障害が悪化する症例は脳血管障害性嚥下障害より発症、回復課程にバラつきがあると思われる。そのため文中にあるように「 嚥下訓練だけでは嚥下障害に対応できない 」ことを理解した上で栄養や嚥下リハを上手く組合わせることが重要と思われた。