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パスに役立つ嚥下障害・誤嚥性肺炎・口腔ケアの基礎知識

日本クリニカルパス学会誌 に「 パスに役立つ嚥下障害・誤嚥性肺炎・口腔ケアの基礎知識 」(高畠英昭 18(3): 249-253, 2016.) 要旨は「嚥下障害は高齢化が進む我が国において大きな問題である. 嚥下障害が重度になれば胃瘻による栄養管理が行われるが, 胃瘻の原疾患の過半数は脳卒中であり, 約1/3は認知症である. 脳卒中・認知症共に高齢者に高頻度に起こる疾患であり, 人生の最終章に最期まで口から美味しく食べられるケアのニーズは高い. 誤嚥性肺炎は嚥下障害の代表的な合併症である. 重度の嚥下障害のために胃瘻造設された人たちの半数は約2年で死亡し, 死因の約60%が肺炎であるという事実が示すように胃瘻では誤嚥性肺炎を予防することはできない. 一方, 積極的な経口摂取訓練により肺炎発症が減少することは臨床試験でも確認されている. また, 口腔ケアによる肺炎予防効果が注目を集めているが, 口腔ケアの目的は必ずしも肺炎予防だけではない. 最期まで口から美味しく食べられるケアのためのパス作成に役立つ , 嚥下障害・誤嚥性肺炎・口腔ケアの基礎知識について述べる.」と述べている。 本文で紹介されている「マクロアスピレーション」、「マイクロアスピレーション」については、 「食事時の誤嚥」、「食事以外(主に就寝時)の誤嚥」の意味で使用されている。 本文では、マクロアスピレーションによる、誤嚥性肺炎の発生率は1.0%程度とされている。 このことから、マクロアスピレーションより、マイクロアスピレーション対策が重要であり、口腔ケアは就寝前に徹底して行うことが肝要といえる。 もし可能であれば、夕食後の時間から言語聴覚士や歯科衛生士が介入し対象者に口腔ケアを行うことで、日中に口腔ケアを行うよりも誤嚥性肺炎をより抑制できる可能性があると思われた。