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2月, 2011の投稿を表示しています

摂食嚥下障害と呼吸リハビリ

治療 ( 91(8) : 2114-2117, 2009) の中で「 丹田呼吸法 」について記載されている。 方法は「吐く息で横隔膜を下げ,腹圧をかけ丹田に気を集める横隔膜呼吸法である. 喘息,肺気腫,慢性気管支炎や気管支拡張症での呼吸リハビリというより,薬物,酸素,運動療法,排疲法のなかの呼吸訓練の一つ」と位置付けられている。 実際、誤嚥性肺炎患者の中には呼吸機能が低下している方もおり、呼吸能力(特に喀出能力)を高めることも重要であると思う。しかし、呼吸アプローチはどちらかと言えば、吸気能力を高めるアプローチであり、咽頭・喉頭貯留がある方には、逆に 吸気誘導により誤嚥を誘発 する可能性も否定できないと考える。 当然のことであるが、誤嚥性肺炎患者に呼吸リハビリテーションを実施する際は留意すべき事項であると言える。 .

Higher brain dysfunction

「高次脳機能障害とは」について http://shinkoh-igaku.jp/mokuroku/data/M3001.html で記載がなされている。 この中で「高次脳機能障害は主として連合野皮質によって営まれる機能,およびその障害ということである。」と述べられている。しかし、文章では一言で高次脳機能障害と言っても行政用語と学術用語の意味合いが違く、行政用語には失語症、失行症、失認症は含まれていない。 ここで考えさせられることは現場で働く私も脳機能損傷患者に対し簡単に「高次脳機能障害残存」と報告していないかということである。 改めて再考し臨床に活かしたい。

言語聴覚士 国家試験対策2

言語聴覚士を目指す学生にとり、神経関連問題は関連づけて覚えることが重要になる。 ここで一つ問題をJOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION, 17(1) : 92-97, 2008.より。 問 上位運動ニューロン障害による運動麻痺にみられる徴候で誤っているのはどれか. (1)深部腱反射が亢進する (2)バビンスキー徴候がある (3)複数筋群が障害される (4)肺(廃?)用性筋萎縮がある (5)繊維性攣縮が出現する 解答5。繊維性攣縮は下位運動ニューロン障害出現症状だから。 POINTは(1)は深部腱反射の仕組み(2)バビンスキー兆候は乳児でも出現する(4)麻痺による未使用からくる筋委縮であり、こういった簡単な問題をとりこぼさないのと同時に、神経筋疾患も 併せて覚えることが大切になってくる。 ジャーナル推奨文献:江藤文夫:神経内科学テキスト,南江堂.

What is Life?

 今さらながら「What is Life?」(邦名「生命とは何か?」)1944年著者エルヴィン・シュレーディンガーを読んでみた。内容に関しては改めて解説する必要はないので割愛したい。 関連論文として「 DNA二重らせんとシュレーディンガー」 鈴木理、産業技術総合研究所DNA情報科学研究グループ、蛋白質核酸酵素、 48(5) : 575-576, 2003の中で 「 木から落ちたりンゴの化学成分を分析するのではなく,星を眺めることによって,実体の背後にある原理が追求されてきた.あのころ,人類の精神は若く,科学は普遍を求め,永遠のときの中にいた.今や,人類は事実の山に埋もれ,その目は,地上へと,自分たちの種の利益,目先の技術へと釘づけになっている.上を向いて歩こう. 」とある。  私なりに考えてみると、今は科学技術が進み、よりミクロかマクロかの世界を追求している。これは現在の現象が「事実の山」に埋もれているからともいえる。 この3連休でシュレーディンガーから、違う視点でみる重要性と関連論文から原点回帰について考えさせられた。大変有意義な連休であったと思う。

作業療法士と吸引

2011年1月のOTジャーナルより、「作業療法士に必要な吸引の基礎知識」としてシリーズ連載されている。 一度病院内でリハ医よりリハ科吸引講習会を実施してもらったが、読んでみると吸引目的やアルゴリズムが記載されており、分かりやすい。 特に2月号の「臨床でよく直面する疑問とエビデンス」では、うまく痰を引けないときの疑問として ①吸引時間②吸引圧③カテーテル直径④挿入深度 について回答が示されており、参考になった。 ①は事前に体位ドレナージ等で痰を気道中枢に移動させ、10~15sec以内に実施。 ②は安全性を考慮すると吸引圧は最大150mmHg(20kPa)。 ③は鼻・口腔吸引では12Fror14Fr吸引カテーテルが望ましい。 ④は鼻・口腔用は40cm、気管吸引用は50cmとある。 いずれも患者の症状、状態により適宜変更となるが、一定基準として参考にしたい

言語聴覚士と音声治療

「音声言語医学」の「 大学病院における連携‐医師の立場から 」51:207-209,2010  で音声障害に対する対応には、①保存的治療②手術的治療がある.  音声治療には、① 声帯を上手に使う :症状の軽減・治癒あるいは、症状の悪化を予防する保存             的治療の目的の一部            ② 術後の声帯を上手に使う :新しい声帯の使い方の習得や再発を予防する、             外科的治療の一部  ここで重要なのは医師と言語聴覚士では、音声障害に対するアプローチの方法は異なるが、それぞれの立場の利点を生かし共有することによって、音声障害に対する治療におけるより高いゴールを目指すことができると考えられる。と述べられている点である。  反回神経麻痺を呈した患者に嗄声改善依頼がくるが、言語聴覚士は単に音声治療のみを目的とするのではなく、医師と連携をとり、必要に応じて耳鼻咽喉科以外の他科(神経内科等)と連携をとりゴール設定をすることが大切と思われた。

言語聴覚士国家試験対策 構音検査

構音は単に調音の問題のみならず、肺から呼気流のエネルギーが発声運動により声帯振動を励起して生成された音声(喉頭原音)は、そこより上方にある咽頭腔、口腔、鼻咽腔をを含む声道において、構音器官の位置や形状の変化に従い音響学的修飾により音波となり、「はなしことば」になる。 「 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の検査マニュアル 」より。 http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=33490 「はなしことば」の検査で音響分析があるが、文系と思って言語聴覚士養成校に入学する学生が一番苦手なものが多分、音響学と言語学である。両方理系科目であり、私自身理解に難渋した。 音響分析で重要な点はこのマニュアルに記載されているように、 鼻咽腔閉鎖不全では音声信号エネルギー全体が減衰し、ホルマントの帯域幅が大きくなる ことである。忘れないようにしたい。

成年後見制度とセラピスト

昨日、東京三弁護士会主催イベントによる成年後見制度の相談、講演があった。 http://www.toben.or.jp/news/event/date/20110205_1.pdf 私自身は社会福祉士を取得しており、また社会福祉士会成年後見制度団体である「ぱあとなあ」登録をしているため、概要は知っている。 しかし、成年後見制度を知っているセラピストは多くないのが現状ではないかと思う。 「 成年後見制度と権利擁護事業:システムと実践的課題 」 精神障害とリハビリテーション, 5(1) : 22-27, 2001. この論文の中で「社会福祉の実践的な立場は,当事者の意思決定を尊重するということの中身において法律的な立場とは異なる。」 とあり、セラピストに共通する姿勢と考える。成年後見制度や地域権利擁護事業を知ることで、MSWやDr.とのディスカッションも幅が広がるのではと考える。

COPDの嚥下訓練

COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者の嚥下訓練は本当に考えさせられる。 The Coordination of Breathing and Swallowing in ChronicObstructive Pulmonary Disease http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/short/179/7/559 の論文では正常な呼気―嚥下―呼気がCOPD患者では吸気時に嚥下をしやすい ことが報告されている。 結論として呼吸強調運動のタイミングと嚥下をリンクさせることが重要とのことであった。 となるとアプローチとしてはsupraglottic swallowが有効なのであろうか。 今後の検討課題と考えられた。