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肺炎にさせないために

デンタルハイジーンに「 肺炎にさせない"ために~嚥下訓練・食事支援・口腔ケア~ 」(野原幹司33(9): 978-982, 2013.)が掲載されている。  要旨は「医療界では, 在宅医療の充実が叫ばれています. 病院に入院すべき急性疾患を有する患者さんは減少し, 慢性疾患や障害を抱えながら在宅や施設で生活している患者さんが増えているためです. 患者さんの生活を支える在宅医療のさらなる充実が必要とされています. ここに在宅主治医(医科)を対象にした「連携したい診療科」のアンケート結果があります. なんと, 在宅医がもっとも連携したいのは「歯科」という結果でした . さらにもう1つ, 「歯科に口腔ケアを依頼したときに期待する効果」についてアンケートがあります. その結果の1位は「摂食・嚥下機能の維持・改善」であり, 2位は「呼吸器感染(肺炎)の予防」でした. これらの結果は, 「在宅でもっとも必要とされているのは歯科であり, そのときに期待されるのは, 摂食・嚥下リハビリテーション(以下, 嚥下リハ)と口腔ケアである」ということです. 」と述べている。 本文でこれからの歯科について、「歯を残す」から「機能障害への対応」へパラダイムシフトをしていると述べている。 また、本文では栄養と呼吸リハについて、触れており私も栄養、呼吸リハ、口腔ケアを適切に組み合わせることで嚥下性肺炎を予防できると考えている。 そのため、歯科衛生士雑誌に呼吸リハについて述べられていたことは大変興味深かった。歯科関係者が誤嚥性肺炎予防のために口腔以外も観察できるとアプローチの幅が広がると思われた。

段階的嚥下食と誤嚥防止のための口腔ケア

難病と在宅ケア に「 段階的嚥下食と誤嚥防止のための口腔ケア 」(中山渕利, 戸原玄, 阿部仁子20(1): 63-66, 2014.)が掲載されている。 要旨は「近年, 摂食・嚥下障害を抱えた要介護者が増えるなかで, 安全でおいしい食事を提供するために在宅や介護施設にて食事形態や食事方法について様々な工夫がなされている. しかしながら, すべての 摂食・嚥下障害者が適切な食事をしているわけではない . 実際, 摂食・嚥下機能に不釣り合いな食事は誤嚥性肺炎や窒息を引き起こすこともある. また食事方法を工夫すれば口から食べられるが胃瘻のみで栄養摂取を続けている場合もある. 摂食・嚥下障害者が安全に経口摂取を継続するためには, 食形態, 姿勢, 食べ方もしくは食べさせ方を適正にすることが大切 である. つまり, 人によっては食形態がいくら適正でも姿勢が悪いと誤嚥することや, 食形態が不適切でも姿勢や食べさせ方が適切であれば誤嚥しない場合もある. 今回はこのうち"食形態"に着目して解説していることに注意していただければ幸いである. 」と述べている。 主に日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類と口腔ケアについて記載されているが、嚥下調整食分類について、具体的な食品が記載されており分かりやすい内容となっている。 例えば、「あい一とR」について、「食材の形態はそのままに、酵素均浸法を使って、食材の内部繊維を分解しており、舌で簡単につぶせて、コード3に相当する程度まで粒のない状態になるため、コード3の中でも比較的安全でおいしい商品である。」と述べている。 摂食嚥下リハビリテーション分野も可能な範囲から基準化が図られてきている。調整食、栄養管理について様々な発表がなされているが、肝心の摂食嚥下リハビリテーションの内容や基準化については、研究発表もまだ少ないのが現状だと思う。 今後も摂食嚥下リハビリテーションのエビデンスレベルを一つでも上げられる研究を考察していきたい。

加齢と嚥下障害

日本気管食道科学会会報 に「 加齢と嚥下障害 」 (田山二朗65(2): 105-107, 2014.)が掲載されている。   要旨は「日本の高齢化率は平成24年には24.1%に達し, 世界一の『超高齢社会』となった. これら高齢者において肺炎は主要な死因の一つであり, このなかに嚥下性肺炎がかなり含まれていると推定されている. 嚥下障害により生ずる身体的問題は, 「 栄養障害 」と「 嚥下性肺炎 」に集約されるが, 栄養障害に関しては, 胃瘻等の代替栄養法の発達によりある程度の対応が可能となってきた. 一方, 嚥下性肺炎の問題に関しては未だ未解決な状況 にあると言っても過言ではない. また, 嚥下障害に対する対応は, 社会構造や医療・福祉制度とも密接な関係があり, 単に疾患を治療することだけでは済まない状況となってきている.」と述べている。   本文中に高齢者は「診断から対応に至るまでの過程において、生活環境そのものが障壁となる」とあるが、その通りだと思う。独居なのか、外出の機会はあるか、金銭的余裕があるか等置かれた環境により高齢者のADLは変化する。 高齢者の嚥下性肺炎予防には、日常生活の中での予防が重要であり、それは口腔内細菌を減少させることで嚥下性肺炎を予防できる口腔ケアと食事自体が直接訓練と考えると食事回数の増加と思われる。可能な限りこの2点を日常生活の中で増加、維持させることが大切と思われた。