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RAによる嚥下障害

 Modern Physicianに「 全身性アミロイドーシスの合併を認めた 関節リウマチ の一例 」(守田優子, 脇屋緑, 田村直人, 橋本博史24(8): 1423-1425, 2004. )が掲載されている。                        要旨は「症例は76歳女性, 28年前発症の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の症例. 脳梗塞にて入退院を繰り返していた. 嚥下障害をきっかけに全身状態悪化を認め緊急入院となるが, 経過中認めていたネフローゼ症候群のコントロールが困難であり, 心不全にて死亡した. 病理解剖の結果, 全身の小血管を中心にアミロイドの沈着を認めた. 症例:H. S. 76歳, 女性 主訴:食事摂取不能 既往歴:48歳:RA, 71歳, 73歳:脳梗塞 家族歴:特記すべき事項なし 現病歴:昭和40年RAと診断され, prednisolone(PSL)5mg/day投与されていた. しかし, 外来通院はほとんどしておらず, 家族が薬をとりに来ていた状況であった. 昭和63年健忘, 失語にて受診し脳梗塞と診断され入院. 入院時, 蛋白尿を認めたためネフローゼ症候群を指摘されている. 平成2年再び脳梗塞(失語, 右片麻痺)にて入院. 平成3年より, 昼と夜を間違える(昼夜逆転), 暴言を吐くなどの痴呆症状出現. 平成5年1月より尿失禁が出現. 5月21日 嚥下障害が認められ, 食事摂取不可能 となり, 高度な脱水を認めたため5月31日, 緊急入院となった.」と述べている。 文中でも述べられているが、アミロイドーシスの増悪に伴い、CRP上昇が認められる。そのため、RAで嚥下障害合併しているとAPやSA疑いを持たれることもある。そのため、画像所見も確認した対応することが、大切と考えられた。 また、成書によると、RAの嚥下障害は咽頭期が多いが、他にも上肢動作不全による低栄養が原因とも述べられており、更なる検証が必要と思われた。                  

再発を繰り返す誤嚥性肺炎に影響を及ぼす因子

  医療薬学 に「 再発を繰り返す 誤嚥性肺炎 に影響を及ぼす因子の検討 」佐藤友佳, 小出哲朗, 片山歳也, 藤田征志, 松田浩明, 黒田秀之, 家田俊明, 奥田真弘, 佃和代37(6): 367-370, 2011. )が掲載されている。 要旨は「 肺炎は現在日本人の死亡原因の第4位を占め, それによる死亡者の9割以上が65歳以上の高齢者であり, そのうち4割が誤嚥性肺炎であるといわれている. 高齢者の誤嚥性肺炎は背景因子として基礎疾患を有する例が多く, 再発を繰り返し, 耐性菌の増加につながる恐れがあることから, 再発をいかに防止するかが重要である. 最近では嚥下機能を改善することにより誤嚥性肺炎を予防する効果のある薬剤として, アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬), 半夏厚朴湯, アマンタジン塩酸塩, シロスタゾール等が注目されている. また, 経管栄養施行患者の逆流性誤嚥も肺炎の一因となり, それに対しては栄養剤を半固形化することによる予防効果が報告されている. 市立四日市病院(以下, 当院と略す)では, 誤嚥性肺炎を発症した患者に対し, 再発予防対策として薬剤師よりACE阻害薬, 半夏厚朴湯の処方や経管栄養剤の半固形化を提言し, 再発予防や嚥下機能改善につながった症例を経験してきた.」と述べている。 今回の研究では 「 嚥下機能を低下させる薬剤の投与が誤嚥性肺炎再発リスクを上昇させることが示唆された」 と述べられ、実際の薬剤として ChE 阻害剤 と D2 阻害剤 を挙げている。また、抗精神病薬を使用している高齢者は非使用者に比べ肺炎リスクが 3 倍になる文献を紹介している。 入院の長期化に伴い、患者が不穏になると抗精神病薬を投与されることもあるが、肺炎リスクも高まることを留意した、アプローチ(食事形態、摂食・嚥下リハビリテーション導入等)を検討することも大切と考えられた。                    

機能性構音障害とMFT

コミュニケーション障害学に「 ナ行音に口蓋化構音の認められた成人 機能性構音障害 例の治療経過:口腔筋機能療法を応用した舌運動訓練が有効であった1例 」 (武井良子, 山下夕香里 25(3): 230-230, 2008. )が掲載されている。 口腔筋機能療法(MFT) は主に歯科業界で舌筋コントロールを目的として認知されている。構音訓練と言えば、とかく調音点指導に目がいくこともあるが、まず、舌筋コントロールから開始し、舌運動調整が可能としてから構音訓練へ移行することも重要と思われた。 機能性構音障害訓練は、①器質性の有無確認→②聴力確認→③構音検査→④語音弁別検査→⑤MFTによる舌コントロール→⑥調音指導の流れで行うのが良い印象だが、今後更に検討していきたい。

Wallenberg症候群急性期の嚥下機能評価

神経治療学 に「 Wallenberg症候群急性期の嚥下機能評価とリハビリテーションの有用性 」(白石眞, 牧口寛子, 山徳雅人, 眞木二葉, 長谷川泰弘28(4): 429-435, 2011.)が掲載されている。      要旨は「一定の 嚥下パス に従った急性期Wallenberg症候群(Wallenberg syndrome:WS)の嚥下評価とリハビリテーションによる改善を調べた. WS 10例に発症24~48時間に改訂水飲みテストと食物テストによる評価を, 第3, 20病日に嚥下造影(videofluoroscopic examination of swallowing:VF)を行い, リハビリテーションの方法を選択した. 発症24~48時間の評価では6例が経口摂取不能であったが, 内3例は第3病日のVFにより経口摂取可能であった. 4例に胃瘻造設をしたが, 第90病日には経口摂取の併用が可能となった . 急性期WSで重度の嚥下障害であっても, 適切な嚥下リハビリテーションと繰り返し評価することにより早期から経口摂取が導入できる症例があり, 予後も良好となることが示唆された.」と述べている。 ここで述べられているパスは論文中に図で掲載されている。内容は発症後48時間以内にMWST、FTを実施し3日後にVF、20日後に再度VFを行うものである。急性期のWSで予後予測を求められる場合も少なくないが、このパスや90病日で経口摂食可能になった今回の症例を参考にし、予後予測をすることも一つの方法と考えられた。                           

がん口腔ケア取組み

日本歯科衛生学会雑誌 に「 歯科病棟での術前術後専門的口腔衛生処置の取り組み 」(森和代, 鉛山光世, 福重雅美, 北上真由美, 帆北友紀, 神之田理恵, 田島香菜, 寺尾寿子, 坂元香代子, 川原三和, 中禮ゆかり, 徳田さおり, 下田平貴子6(1): 185-185, 2011.)が掲載されている。       要旨は「術前・術後の専門的口腔ケアは, 術後感染, 術後肺炎等の予防効果があり, 患者への侵襲や医療費の軽減, 入院在日数の短縮など様々なメリットがあると言われている. 平成22年度診療報酬改正では, 入院患者の術後の口腔ケアが「術後専門的口腔衛生処置(1口腔につき)」として新設され算定 できるようになった. これに伴い, 当院では, 入院直後から退院までの継続的な口腔ケアのシステムの見直しを行った. 今回, 入院患者の専門的口腔衛生処置の介入から管理においての取り組みを報告する. 【対象および方法】 2010年5月から2011年3月に口腔ケアを行った当院歯科病棟患者69名(悪性腫瘍患者47名, 顎骨折・外科矯正患者16名, その他6名)であった. 術前から退院までの口腔ケア介入患者数は延べ283名であった. 術後専門的口腔衛生処置の新設に伴い, 当院では患者の術後感染, 術後肺炎, 精神的及び肉体的苦痛緩和のために歯科医師, 看護部門, 歯科衛生部門, 事務部門が入院から退院までの口腔ケアの流れや連携についてのカンファレンスをもち, チーム医療の見直しを行った. 」述べている。 専門的口腔ケアは誤嚥性肺炎予防効果だけではなく、緩和ケアの一環としての意味合いを持つ。そのため、積極的介入が望ましいと考えられる。しかし、がん病棟といった臨床現場では業務の多忙につき口腔ケアまで手が回らないことが散見される。そのため、口腔に関わる専門職(歯科医師、歯科衛生士、言語聴覚士等)の介入が重要であると考える。私自身もがん口腔ケアに対する知識がまだ不足なため、今後勉強していきたい。

大人の発達障害とセラピスト!?

今回は、閑話休題的内容にしました。 日本心療内科学会誌 に「 発達障害に気づかない 大人 たちへのプライマリー・ケア (初期対応)」(星野仁彦15(4): 230-236, 2011.)が掲載されている。   要旨は「発達障害は各種精神障害の中でも, 本人にとっても周囲にとっても気づかれにくく, 「見えない障害」であると言える. 知的機能が低い知的障害者や低機能自閉症(広汎性発達障害)は, 比較的早期(幼児期・学童期)に発見されて, 医療・教育・福祉の対象になりやすい. しかし, いわゆる軽度(高機能)の発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群(AS)などの発達障害は障害と気づかれないまま, したがって 医療や特別支援教育の対象にならずに, 親や教師からの過大なプレッシャーやいじめの対象になり, 思春期・青年期になって, 自己評価が低くなり不登校, 反抗挑戦的行動, 行為障害(非行), うつ状態などを示して学校に不適応となることがある. 更に彼らは成人になるとうつ病, 不安障害, 各種の依存症(アルコール, 薬物, 過食, 浪費, ギャンブル)などに発展 することも少なくない.」と述べている。  例としてBさんのケースが述べられているが、「仕事も人間関係も全て自己流」。上司から「ジコチュー」と評価され、日常生活でもB 男さんはだらしなく、「食べっぱなし,脱ぎっぱなし,置きっぱなし,読みっぱなし」で,部屋の中はメチャクチャである。と決して他人事に聞こえない所が恐ろしい。 また、「大人の軽度の発達障害者は,社会への適応レベルや職業,年収などが千差万別で人生の満足度に大きな違いがあり、その境遇にはまさに天と地ほどの差がある。」と適切な職業選択の重要性についても触れている。  職業で考えると、セラピストはチームで関わる職業であり、自分勝手な行動が患者のみならず同僚にも迷惑をかける。そのため、自分がうまくいかないと感じたら早期受診による適切な治療が重要と思われた。言い方は悪いかもしれないが、適切な治療を受けない(認めない)ためうつ病となり、長期欠勤となってしまったら、自分だけでなく周囲も辛い思いをするのではないだろうか。                         

研究における対象者選択

理学療法に「 対象者をどうやって選ぶか? データを取る方法の問題を考えてみよう 」(日高正巳28(3): 496-503, 2011. )が掲載されている。  要旨は「1. 全数調査以外の研究は, 抽出された標本の特性から母集団の特性を推測するために行うものであり, 対象者を的確に選ぶことができているか否かが研究の成否を左右する. 2. 対象者を選択するには, 研究目的に応じて取り込み基準と除外基準を明確にし, 選択バイアス, 交絡を考慮することが必要である. 3. 調査研究では回収率を上げることが求められ, そのためには, 依頼状, 督促状などの丁寧な連絡方法が役立つ. 4. 対象者が思うように集まらず少数の場合 には, 結果の統計処理ならびに解釈においてその点を考慮する必要があり, その研究を 予備研究 としてその後の研究につなげることが大切である.」と述べている。  文中では、対象者が思うように集まらないことについても、「外れ値を示す対象者のように, 理学療法が対象とするのは一個人 である.無作為化比較対照研究が重視される時代となってきているが,その一方で,1例1例を詳細に検討する ケーススタディも極めて重要 であり,理学療法研究の基本であることは間違いないだろう.」と述べている。  まずは自分が担当した貴重な経験を発表(シングルケーススタディ)から始め、次に群間比較研究につなげていけば、研究法の理解も進んでいくと思われた。

研究テーマの決め方

昨日に引き続き研究方法の文献である。 理学療法に「 研究テーマの決め方 」( 古名丈人 27(11): 1343-1348, 2010.)が掲載されている。 要旨は「1. 研究を始めるためには, まず研究プロセスの理解と研究リテラシーの醸成が必要である. 2. 良い研究仮説を構築するには PICOT を利用するとよい. 3. 良い研究仮説か否かを確認するには FINER が利用できる. 4. 研究を行っていくには自身の研究に関する時間的・空間的理解が大切である.」と述べている。  昨日はPECOについて記載したが、PICOTというのもあり 、P:populationもしくはpatients(患者または対象者),I:intervention(介入),C:comparison(比較),O:outcome(帰結),T:time frame(時間的枠組み) である。ちなみにFINERは, F:feasible(実行可能性),I:interesting(興味・関心),N:novel((広い意味での新規性),E:ethical(倫理),R:relevant(科学的意味,臨床的意義・関連) である。  ここで、セラピスト別研究について考えてみると、理学療法士や作業療法は関連本として、「理学療法」「PTジャーナル」「OTジャーナル」といった雑誌があるが、言語聴覚士関連では協会誌「言語聴覚療法」(一応定価が記載されているが、まず書店に置いてない)のみである。また、言語聴覚士は大卒2年課程もあり、この課程で自己の経験上卒業研究をするのは大変である。そのため、言語聴覚士が研究法を学ぶ機会は少なく、卒後研究も個人の意欲と力量によるところが大きいと言える。この状況から考えると、リハ科内で研究法を熟知した者(リハ科医師等)が定期的に講習会を行い、卒後も研究法を学ぶ機会を継続することが重要と思われた。  

リハビリ研究の必要性

理学療法に「 研究とは何だろう?なぜ研究が必要なのか? 」(対馬栄輝27(2): 352-356, 2010. )が掲載されている。 要旨は「1. 理学療法士は理学療法の専門家である. したがって研究の必要性を自覚しなければならない. 2. 理学療法の臨床で疑問を持つ意識と, その疑問を解決しようとする行動が大切である. 3. 臨床での疑問を要約するためのツールとして, PECOが便利である . 4. 多分野にわたる知識を基盤とするとしても, 理学療法に必要な理学療法独自の研究方法論が求められている. 「“研究はわからない, 必要性を感じない”」私は大学で教職に就いており, 講義で繰り返し研究の必要性を訴えているから, ほとんどの学生はそれなりに必要性を感じているようである. ところが卒業生に聞いてみると, 「 臨床業務が多忙で研究はできない 」とか, 「研究はともかくとして技術の習得の方が重要だ」とか, 「 成書の読み合わせによる知識の蓄積のための勉強会は定期的に行っているが…… 」, という答えが返ってきた. 「研究はわからない, 結局必要性を感じない」という声まで聞こえる. 」と述べている。 実際、臨床現場で勤務していると、つい「忙しい」と述べてしまいがちになる。これは後からデータを抽出しようとすると大変であるが、発想を転換し普段から職場の個人情報保護に触れない範囲でデータを日々記載しておけば、研究開始時の時間的ロスは短くなるのではと考える。 私自身、今更であるが、このシリーズを読みPECOを考えていきたい。 ちなみにPECOとは本文では、P(patients):どんな患者(対象者)に、E(exposure):何をすると、C(comparisoh):何と比べて、0(outcome):どうなるか。と紹介されている。

赤ワインポリフェノールによる嚥下反射改善効果

The Japanese Journal of Rehabilitation Medicineに 「 赤ワインポリフェノールによる嚥下反射改善効果 」(海老原 覚,長坂  誠,森  信芳,伊藤  修,坂田 佳子,鈴木 文歌,上月 正博48:5230-5230, 2011.)が掲載されている。海老原先生はカプサイシンやメンソールといった非薬品を使用した嚥下障害改善例を多数発表されており、大変著名な先生である。 要旨は「【目的】 高齢者の嚥下障害の多くは嚥下反射の低下を伴うことが多く ,これを改善することが嚥下障害の治療上重要となる.赤ワインのポリフェノールは様々な健康に対してよい作用を持つことが知られている.そこで赤ワインの嚥下反射に対する作用を調べてみた.【方法】アルコールをとばした赤ワイン,アルコールをとばした白ワイン,葡萄ジュース,蒸留水にて,高齢者において嚥下反射を測定した.さらに様々な濃度に赤ワインポリフェノールを蒸留水に溶かして嚥下反射を測定した.【成績 】アルコールをとばした赤ワインは,蒸留水に比べて有意に嚥下反射の潜時を改善した .アルコールをとばした白ワイン,葡萄ジュースにはそのような作用がみられなかった.また,赤ワインポリフェノールは用量依存性に嚥下反射の潜時を改善した.【結論】赤ワインポリフェノールに高齢者の遅延した嚥下反射を改善する作用があることが判明した.」と述べている。 赤ワインによるポリフェノールを使用した文献であり、嚥下反射改善するとのことである。考えとしては、健常時からワインを飲み、嚥下反射を維持するか、ポリフェノールを使用し訓練場面で活用するかである。一つの考えであるが、これまで海老原先生が発表されてきた素材を使用し「嚥下改善食」を作り「味」と「嚥下機能」の改善を図るのもよいのではと思われた。

国家試験問題からの嚥下復習

摂食・嚥下リハビリテーションは医師、歯科医師、PT、OT、ST、管理栄養士(リハ栄養的アプローチ)等により実施され他職種が多く関わる。そのため、国家試験にも言語聴覚士国家試験以外でも出題されている。そのため、嚥下障害について問う問題を言語聴覚士国家試験以外から検索した。 104回歯科医師国家試験 109 摂食・嚥下障害で咽頭期に起因する症状はどれか。 2つ選べ。 a むせる。 b 咀嚼に時間がかかる。 c 食事後に声が変化する。 d 口から食物がこぼれる。 e 食渣が口腔前庭に停滞する。 解 5期モデルに関する問題でありac以外は口腔期の問題が大きいと言える。 第44回理学療法士国家試験 午後問題65 脳卒中患者の摂食・嚥下障害で誤っているのはどれか。 1 急性期に高頻度にみられる 2 体位調整は誤嚥防止に役立つ 3 仮性球麻痺があると生じやすい 4 水はペーストよりも誤嚥しやすい 5 右側に咽頭麻痺では顔を左に向けて食べさせる 解 これは明らかに5であり、右の咽頭麻痺では右を向く(回旋嚥下)使用する。 他にもあるが、このように摂食・嚥下障害は言語聴覚士以外の国家試験でも出題されていることからも、多くの職種が取り組むべき障害であることを国も認識しているのではないかと思われた。

グレリンによるサルコペニアへの介入

今年もよろしくお願いします!Geriatric Medicineに「 グレリンによるサルコペニアへの介入 」(米川忠人, 越中敬一, 中里雅光49(3): 331-334, 2011. )が掲載されている。 要旨は「本邦はまもなく人口の4人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入することから, 抗加齢対策の研究が多くの基礎と臨床の施設で進行している. 骨折は高齢者寝たきりの大きな誘因で, 骨粗鬆症は易骨折性の原因であるが, 骨格を保持する筋肉量の低下も転倒骨折の一因である. しかも, 骨格筋の萎縮は廃用性, 除神経, 悪液質(癌や慢性感染症など), 栄養失調でも顕著に認められる . グレリンは摂食亢進に加えて成長ホルモン(GH), インスリン様成長因子-I(IGF-I)を介する筋肉量の増大や抗炎症作用などの多くの生理作用を有し, サルコペニアによる筋肉量および筋力の低下に対しても有効な薬剤となる可能性がある.」と述べている。 文中では、グレリンが直接骨格筋に影響与えるかは不明で、どちらかと言えば「摂食量増加による栄養状態改善による作用とGH/IGF-1増加による間接作用が主体となる.」と述べている。 実際、摂食・嚥下リハビリテーションで介入していると、一定期間経過後嚥下機能に問題がなくても摂食が進まず低栄養になる方をみかけることがある。身近なところでグレリンを投与して摂食量が増えたという報告は聞かないが、今後文献検索し影響や効果を確認していきたい。