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5月, 2016の投稿を表示しています

歯科学における周術期口腔機能管理学分野の幕開け - 歯科衛生学からの発信 -

保健つるみに「 歯科学における周術期口腔機能管理学分野の幕開け - 歯科衛生学からの発信 - 」(関谷秀樹, 3-8, 2016.)が掲載されている。 要旨は 「周術期口腔機能管理学 というカテゴリーを歯科学の中の一分野として研究・教育していかなければならない. 管理が必要か否かを判断するためには, 口腔の状態と機能を簡便に評価する必要がある. 既に存在する数多くの診断ツールは個々に量が多く, 口腔管理をすべきか否かを即座に判定するには煩雑である. 簡便な評価ツールは, 歯科学の一部である歯科衛生学体系の中で形成され, 蓄積される医学的根拠に基づいて, Brush upされる必要がある. そして, 得られた成果を集約し, 発信していかなければならない. 本稿では, 鶴見大学短期大学部歯科衛生学科の東邦大学での臨床実習を前に, 当院で行われている口腔外科を軸とした3つの周術期関連チーム医療の実績を供覧し, 周術期口腔機能管理学の礎となるべく, その方向性を提示した. 」と述べている。 本文でも触れているが、周術期口腔機能管理について、漫然と行うのではなく質の向上を目指すことが大事であり、具体的に病院全体で行った結果何がどのように変化したのかデータとして示す必要がある。 医科歯科連携にも関係することであるが、医師からすれば、周術期口腔機能管理を依頼するというのはこれまでの業務にプラスして行うことであり、その手間に見合う成果を記録していくことが大切だと考える。

Diagnosis and evaluation of 100 dysphagia patients using videoendoscopy at a core hospital of a local city in Japan

Odontology に「 Diagnosis and evaluation of 100 dysphagia patients using videoendoscopy at a core hospital of a local city in Japan 」(Yonenaga K, Majima H, Oyama S, Ishibashi K, Tanno H.)が掲載されている。 Abstract  Japan has entered an era of a super-aging population, and given the importance of oral nutrition, the need to evaluate swallowing function has increased.  Herein, we contribute to continued developments in evaluating eating and swallowing functions by describing current videoendoscopy (VE) usage and trends to evaluate and diagnose causes of dysphagia. In all, 100 patients (58 men and 42 women; mean age: 79 years) with suspected dysphagia were enrolled; 15 of these were re-examinations.  Examinations were conducted according to the Japanese Society of Dysphagia Rehabilitation VE examination guidelines for swallowing.  In this study, several patients (77.8 %) with poor vocalization and a saliva reservoir were unable to eat. While evaluating the relationship between aspiration and

サルコペニアとフレイルの違い

入職時に配布された、「 フレイルハンドブック―ポケット版― 」を読んでみた。 サルコペニアとフレイルの違いについて、下記のように記載されている。 フレイル(日本老年医学会): 加齢に伴い、外的ストレスに対し、脆弱性を示す状態。フレイルの定義・診断基準は世界的に定まったものがない。 サルコペニア(欧州サルコペニアワーキンググループコンセンサス): 筋の量的低下と機能的低下(筋力、歩行速度)の双方を含めた概念である。 サルコペニアはフレイルの重要な一因であり、低栄養、活動量の低下などのフレイルの要素と互いに悪循環を形成する。 フレイル予防のためにはサルコペニアを改善することも大事であるということであろうか。 また、加齢に伴う変化にロコモティブシンドロームがある。 ロコモティブシンドローム(日本整形外科学会): 加齢に伴う筋力の低下や関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて、要介護や寝たきりになってしまったり、そのリスクの高い状態。 ちなみに認知症予防のための運動と脳活動の組み合わせをコグニサイズという。 加齢に伴う状態に関する用語はここ最近増えている印象であるが、正しく捉え、使用内容に間違いのないようにしていきたい。

ネーザルハイフローの口腔加湿の有効性について

ICUとCCU に「 ネーザルハイフローの口腔加湿の有効性について 」(新福留理惠, 篠崎正博 39(4): 251-254, 2015.)が掲載されている。 要旨は「ネーザルハイフローとNPPV・呼吸器, 中濃度マスク・カヌラ装着前後での□腔内水分量の比較およびROAGスケールでの比較を行った. □腔内水分量は, NHFとNPPV, 呼吸器, 中濃度マスク, カヌラのそれぞれの間で有意に高かった. しかしながら, 口腔内環境の改善には有意差が認められなかった. NHFは他の酸素デバイスと比較し, 口腔内水分量が増加し口腔ケアに有効であることを示唆した. 」と述べている。  今回の論文では、NHF(Nasal High Flow)はNPPV、呼吸器、中濃度マスク、カヌラよりも口腔内水分量は有意であったが、ROAGでは有意差を認めなかったとのことであった。  口腔内の水分量がある程度保たれているのであれば、ROAG全体では有意差がなかったにもしても、項目ごとにみれば何かしらの差がある可能性も考えられる。  現在、ベッドサイドで口腔ケアを実施する機会があるため、NHF、他の呼吸器を装着している方の口腔内の違いについて意識していきたいと思う。

検索内容、回数まとめ

2011年から開始してきた、このブログもようやく240件目に入った。 そのため、一度整理する意味で、検索内容、回数を多い順から並べていく。    1  咳テストと摂食嚥下障害   2011/04/16 3253回 2  口腔アセスメント(ROAG)について   2012/05/05 1682回 3  気管挿管後の反回神経麻痺   2011/06/20 1532回 4  国家試験問題からの嚥下復習   2012/01/03 1383回 5  側孔付き気管カニューレの発声工夫   2011/08/27 1027回 6  気管切開患者への摂食・嚥下リハビリテーション   2011/06/18 830回 7  高齢者の嚥下障害に対する理学療法   2011/12/29 549回 8  人工呼吸器と摂食・嚥下リハビリテーション   2011/07/17 532回 9  誤嚥性肺炎パスの有効性の検討   2012/04/10 374回 10  病院内口腔ケア   2012/02/05 310回  こうして整理してみると、臨床で働いていた時の課題を調べ記載したものが多く検索されている。 これは現場で同じ悩みや問題を抱えている人が多いともとれる。 特に、気管切開や人工呼吸器をしている方への摂食嚥下訓練は最初とまどいがあるかもしれない。  私自身は現在歯科口腔外科に所属しており直接、摂食嚥下訓練に携わる機会は多くないが、摂食嚥下障害のリハビリテーションができる歯科医として、知識・技術のup to dateは行っていきたいと思う。

パパイン含有ゲル併用舌清掃による舌苔除去効果

口腔衛生学会雑誌 に「 パパイン含有ゲル併用舌清掃による舌苔除去効果 」(濃野要, 山賀孝之, 金子昇, 宮崎秀夫 66: 9-14, 2016.)が掲載されている。 要旨「舌苔には多くの細菌が存在するため, 口臭や誤嚥性肺炎の原因となる. 舌苔は主にタンパク質から構成される ことから, 本試験は, システインプロテアーゼであるパパインを含有したゲルが機械的舌苔除去に及ぼす影響について検討することを目的とした. 対象は23~53歳の男性13名, 女性7名である. 被験者を無作為に2群に割り付け, 両群とも被験試料およびプラセボを用いた実験に参加する交差研究とした. 試験日に, 2.5gのゲルを舌清掃直前に対象者の舌背に塗布し, 1分間保持させた. その後, 同一験者が舌ブラシにて100~150gの荷重範囲で舌清掃を行った. 舌清掃後, 水道水20mlにて10秒間含嗽させた. 舌苔面積および舌苔厚さ評価のために舌清掃前後においてデジタルカメラによる舌写真撮影を行った. なお, 洗い流し期間は14日間とした. 舌写真の評価は3名の熟練した被験者の情報をもたない歯科医師がソフトウェア上にて視覚的に評価した. 2群間の比較にはWilcoxonの符号順位検定を用いた. 舌苔面積はパパイン含有ゲルを用いたテスト群において, 舌清掃後に有意(p<0.05)に減少した. また, 舌清掃前後における舌苔残留率は, プラセボ群に比べてテスト群が有意(p<0.05)に低かった. 」と述べている。  本文中で、「舌苔の主な構成成分はタンパク質である」と述べられており、「プロテアーゼが舌苔の除去に有効であると考えている」とのことである。  口腔ケアの流れとして、舌苔の除去はパパインゲル使用後に物理的に舌苔を除去し、口腔全体は、専用ジェル使用後、口腔清掃、保湿剤の使用の流れで行けば効率のよい、口腔ケアが行えると考えられた。

The Rapid Aspiration Screening in Suspected Stroke Part 1: Development and Validation

Archives of Physical Medicine and Rehabilitation に「 The Rapid Aspiration Screening in Suspected Stroke Part 1: Development and Validation 」(Stephanie K. Daniels, Shweta Pathak, John C. Rosenbek, Robert O. Morgan, Jane A. Anderson)が掲載されている。 Abstract Objectives To develop and validate a nurse-administered screening tool to identify aspiration risk in patients with suspected stroke. Design Validity study comparing evidence-based swallowing screening items with videofluoroscopic swallowing study (VFSS). Settings The study was completed in a certified primary stroke center in a major metropolitan medical facility. Participants Consecutive patients (N=250) admitted with suspected stroke. Interventions Patients were administered evidence-based swallowing screening items by nurses. A VFSS was completed within 2 hours of swallowing screening. Main Outcome Measure Validity relative to identifying VFSS determined aspiration for each screening item and for various combinations o