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8月, 2011の投稿を表示しています

祝100投稿&2000view!

 何気なく始めたブログですが、少しづつ見てくれる方がおり、本当に感謝しています。また、3日坊主の私がよく100回記載できたなと自分で思います。  個人的に摂食嚥下障害に関心があるため、摂食嚥下障害関連の内容が多いですが、周辺領域もこれから勉強していきたいと思います。  今後ともご意見・ご感想があればよろしくお願いします。

The Digastric Muscle is Less Involved in Pharyngeal Swallowing in Rabbits(兎の顎二腹筋は嚥下に作用しない)

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dysphagiaに「 The Digastric Muscle is Less Involved in Pharyngeal Swallowing in Rabbits 」(2011 Aug 24.Takanori Tsujimura, Aki Yamada, Yuki Nakamura, Takako Fukuhara, Kensuke Yamamura and Makoto Inoue)が掲載されている。  新潟大学で研究された内容であり、要旨は「The swallowing reflex is centrally programmed by the lower brain stem, the so-called swallowing central pattern generator (CPG), and once the reflex is initiated, many muscles in the oral, pharyngeal, laryngeal, and esophageal regions are systematically activated. The mylohyoid (MH) muscle has been considered to be a “leading muscle” according to previous studies, but the functional role of the digastric (DIG) muscle in the swallowing reflex remains unclear. In the present study, therefore, the activities of single units of MH and DIG neurons were recorded extracellularly, and the functional involvement of these neurons in the swallowing reflex was investigated. The experiments were carried out on eight adult male Japanese white rabbits anesthetized with ureth

側孔付き気管カニューレの発声工夫

ブレインナーシングに「 拝見!ちょいわざくふうモノ (20)側孔つき気管カニューレの簡単スピーチキャップ 」 (大阪市立総合医療センター桜12階脳神経外科病棟, 25(1) : 15, 2009.)が掲載されている。  内容は「側孔のある気管カニューレは穴をふさぐと発声が可能だが, “高研式気管カニューレ(複管タイプ)”では, 発声するための付属品はなく, 指で穴をふさぐ必要がある〔コーケンネオブレス(スピーチタイプ), コーケンPPカニューレ(スピーチ), スピーチカニューレでは接続可能な付属品あり). そこで, “高研式気管カニューレ(複管タイプ)”で, 耳栓を代用して発声できる 安価で簡単な方法を考案した. 」とあり、ワンウェイバルブ(2000円)、スピーチバルブ(3800円)に対し耳栓(100円)で代替している。  具体的方法は ①内筒を外す②耳栓をつまんで小さくし、外筒の入口に半分程度入れ、栓をする ③発声可能とある。  臨床現場では、気切孔より分泌物が多く流出し、頻回に交換を必要とする症例に応用できると考えられる。人工鼻を例にすると交換後数分で分泌物が人工鼻に付着してしまい、数度の交換を余儀なくされる場合がある。今回はバルブであるが、安価でトライアル的に使用できる方法の構築はコスト面から考えても大変重要と思われた。

骨棘と嚥下障害

整形外科と災害外科 に「 巨大頚椎前方骨棘切除後に一過性反回神経麻痺を生じた1例 」 (籾井健太, 中家一寿, 緒方淳也, 福元真一, 田縁竜一, 60(1) : 101-104, 2011.)が掲載されている。  要旨は「嚥下障害を伴う巨大頸椎前方骨棘に対する骨棘切除後に一過性反回神経麻痺をきたした1例を経験したので報告する.   症例は84歳男性. 5-6年前から嚥下障害が出現. 上部消化管内視鏡検査, 頭部MRIで異常なし. 嚥下造影検査でC3-7前方骨棘による嚥下障害を認め, 前方アプローチでC3-7骨棘切除術を施行. 術直後から喀痰の増加, 嚥下困難感と嗄声が出現. 後咽頭腔幅の増大と嚥下協調運動異常 を認め, 胃管留置し, 嚥下機能訓練を継続した. その後, 嚥下造影検査で後咽頭腔幅の漸減を認めるものの, 摂食を開始することができない状態. 喉頭鏡検査を行い, 左反回神経麻痺を認めた. 徐々に嚥下機能は改善していき, 左斜前屈位で摂食が可能であることを確認. 胃管を抜去し, 摂食再開, 退院となった. 」と述べている。  調べてみると、 60歳以上の頸椎骨棘による嚥下障害患者は約11%発生するとあり 、VFやVEによる頸椎骨棘確認は重要事項と言える。 しかし、本報告では「いかに注意をし、適切に手術を行ったとしても術後反回神経麻痺の発生を0%にすることは不可能である。」と述べており、本報告でも反回神経麻痺による、嚥下障害を呈している。  以上のことから考えると、骨棘による食塊通過障害残存と手術後に反回神経麻痺を起こすRiskを年齢・嚥下障害程度・栄養状態といった総合的に判断することが重要であると言える。 

大脳基底核と運動の関わり

Frontiers in Parkinson Diseaseに「 歩行の制御と障害のメカニズム 」 (高草木薫, 3(3) : 150-153, 2010.)が掲載されている。  要旨は、「大脳基底核の出力は, 大脳皮質に作用することで運動の開始や精緻運動など運動の随意的側面を, そして, 脳幹に作用することにより姿勢や筋緊張, 歩行や嚥下など定型的なパターン運動を調節する. したがってパーキンソン病では, これらの運動機能の障害が出現する。   歩行運動には3つの側面 がある. 第一の側面 は正確な制御を必要とする随意的な歩行動作である. 歩行の開始や障害物を回避する足の動きがこれに相当する. この随意的な歩行のプロセスには大脳皮質と大脳基底核(以下, 基底核), そして小脳から構成される認知ループと運動ループの活動が必要である.    第二の側面 は捕食や逃避, 逃走などの情動行動である(情動的プロセス). 大脳辺縁系(以下, 辺縁系)や視床下部から脳幹への投射系がこれに関与する. 情動行動では, これを誘発する信号の種類にかかわらず歩行や筋緊張の亢進など定型的な運動パターンが誘発される.  随意運動も情動行動も,歩行におけるリズミカルな四肢(手足)の運動やその際の姿勢制御には脳幹・脊髄における感覚一運動統合が必要であり,このプロセスは無意識かつ自動的に遂行される(自動的プロセス)。これが 第三の側面 であり,生得的なパターン運動(嚥下・咀嚼・サッケードなど)もこれに含まれる。」と述べている。  嚥下機能に注目すると、大脳基底核が嚥下反射に影響を及ぼすことはすでに報告されている。また、挺舌時tremorを示す患者がいるが、大脳基底核による影響が考えられる。となると、短絡的であるが、嚥下反射とtremorの有無・程度は関連があるのかという疑問が出てくる。可能であれば、関連性を調べていきたい。   

FTLD分類

Cognition and Dementia に「 前方型認知症の臨床症状と分類 」 (小川雄右, 橋本衛, 池田学, 7(2) : 150-158, 2008.)が掲載されている。  要旨は「前方型認知症は, 大脳の前方部すなわち前頭葉, 前部側頭葉を中心に変性をきたし, 著明な人格変化や行動異常を主徴とする認知症を包括する疾患概念である. その臨床症候の多様性ならびに臨床症候と神経病理学的なサブタイプとの不一致が, 本疾患の理解を複雑にしている. 本稿では, 前方型認知症の臨床的に最も実用的な疾患分類である前頭側頭葉変性症と, その疾患単位である 前頭側頭型認知症(FTD), 進行性非流暢性失語症(PA), 意味性認知症(SD) を紹介し, その臨床症候と背景病理について概説した.  前方型認知症は, 大脳の前方部, すなわち前頭葉, 前部側頭葉を中心に変性をきたし, 著明な人格変化や行動異常を主徴とする変性認知症を包括する疾患概念である(この疾患概念は, 前頭側頭型認知症と呼称されることもあるが, 大脳の後方領域が主として侵されるアルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)と区別する意味 において前方型認知症が用いられることも多い). 」と述べている。  FTD,PA,SDを包括してFTLDと言うが、実際臨床では単一症状で出現する機会もあれば、重複して出現することもある。FTLDに関して、高次脳機能症状に目が行きがちであるが、摂食・嚥下障害も併発しやすいことに留意する必要があると考える。

医科歯科連携3

Geriatric Medicineに「 歯科医師が行うこれからの摂食・嚥下リハビリテーション 」 (戸原玄, 阿部仁子, 中山渕利, 寺本浩平, 49(5) : 525-529, 2011.)が掲載されている。  要旨は「歯科医師が摂食・嚥下障害に携わるのは訪問診療の場面が多い. 過去の調査からも訪問診療の対象となる患者では摂食・嚥下機能と栄養摂取方法に乖離があること, 脳卒中後の嚥下障害でも自然に回復するケースが多くみられることなどが報告されている. つまり継続的な対応が必要であり, 訪問診療を行っている歯科医師は多いため, 歯科業種が多職種と協働してそのようなケースにアプローチしてゆくことが今後重要となろう. 通常の歯科治療のみならず, 摂食・嚥下機能を改善するための特殊な補綴物や, 訪問診療で嚥下内視鏡を含めた対応を行う歯科医師も存在するため , この分野に関して医科と歯科の有機的な連携が今後さらに進むことが期待される. 」と述べている。  文中で興味深かったのは,PAPが過去には腫瘍術後の患者にしか保険が適用されなかったが,昨年より脳卒中や神経筋疾患などの患者に対しても保険適用がなされるようになったとあり、在宅生活を送るALSやPD患者に対しても有効と考えられた。文中でも述べられていたが、今後に医科歯科連携促進が望まれる。