睡眠中の嚥下と呼吸
音声言語医学に「 睡眠中の嚥下と呼吸 」(佐藤 公則, 梅野 博仁, 千年 俊一, 中島 格52 (2011).132-140)が掲載されている。 要旨は「正常成人では睡眠中の嚥下の頻度は減少していた.その頻度は睡眠stageに関係しており, 睡眠が深くなるに従い嚥下の頻度が低くなっていた .また長時間嚥下が行われていなかった.このことから睡眠中は咽頭食道のクリアランスが低下していることが示唆された.しかし,若年成人では嚥下後吸気で再開する頻度は低く,このことは気道防御に有利であると考えられた. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者でも睡眠中の嚥下の頻度は減少していたが,88%の嚥下はrespiratory electroencephalographic arousalとともに起こることが特徴であった.70%の嚥下は嚥下後,呼吸は吸気で再開しており嚥下に関連した呼吸のパターンは特異的であった. CPAP療法は睡眠時の無呼吸・低呼吸と睡眠構築を改善させるだけではなく,睡眠中の嚥下と嚥下に関連した呼吸動態も改善させていた .」と述べている。 睡眠と誤嚥性肺炎の関連は文献で多く報告されており、摂食中の誤嚥も大切であるが非摂食時(特に夜間)の誤嚥予防はより重要である。そのため、就寝前の口腔ケアは徹底して実施する必要がある。睡眠中誤嚥とVEによる咽頭内貯留の関連について、まだ文献検索をしていないが、当然咽頭内貯留が多ければ、睡眠中の誤嚥riskは高いと思われる。しかし、SA患者で咽頭内貯留がない場合でも誤嚥性肺炎を起こす場合もあり、今後関連を調べていきたい。