JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATIONに「
誤嚥性肺炎を起こしたら」(羽田康司20(2): 159-163, 2011.)が掲載されている。
要旨は「 嚥下障害が見え隠れする患者が発熱すると, 誤嚥性肺炎の診断のもと直ちに禁食とされ抗生剤治療を開始されるのが一般的であると思う. 確かに入院患者に生じる発熱の原因として誤嚥性肺炎は尿路感染症と並んで多い. 特に高齢者では肺炎が重篤化し難治となることも珍しくないので, 不幸な転帰を防ぐためにはその診断と治療は過剰にならざるを得ない. しかし, いたずらな禁飲食は低栄養による免疫機能の低下, 蛋白異化による筋萎縮, 褥瘡の形成や悪化の誘因となるだけでなく, 肺炎自体の治癒を妨げる. それゆえ, 誤嚥性肺炎に対する対応は肺炎自体に対する検査や治療だけでなく, 並行して「今後の水分・栄養補給をどのように行うのが一番よいのか」ということを早期から症例ごとに考えなければならない.」と述べている。
臨床現場では、ゼリーで誤嚥したから禁食ということを聞くが、ゼリーレベルで誤嚥があるならば、不顕性誤嚥riskが大きいと思われる。実際、24時間中の摂食時間は1日totalでみても2時間あるかどうかであり、1回に2時間以上摂食時間を要するならば摂食意欲や介助方法の問題が大きいと考える。
また、嚥下訓練としてゼリーの使用が考えられるが、ゼリーに含まれているKcalは少量であり、あくまで訓練目的である。
一つの考えであるが、禁食患者に嚥下訓練目的でゼリーを使用する際、エンジョイゼリー(エンジョイゼリーは量が多いので1/3程度使用。それでも100Kcal)といった高カロリーゼリーを使用し訓練(ただ、高カロリーゼリーは粘性や付着性、浸透圧等々、誤嚥時リスクがあるため疾患、嚥下動態に留意)することも嚥下訓練と栄養改善を図る一つの方法と思われた。
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