PEG後の早期死亡因子

日本消化器病学会雑誌に「経皮内視鏡的胃瘻造設術後の早期死亡とその危険因子に関する検討」(横浜吏郎, 青島優106(9): 1313-1320, 2009.)が掲載されている。
要旨は「経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)は既に確立された手技といえるが, その施行には危険をともない, 時に死亡例を経験する. われわれは術後早期死亡の危険因子を検討するため, これまで当院でPEGを施行した302例を解析した. 患者群は高齢化し, 一般全身状態の低下, るいそう, 低栄養傾向を認めた. 術後30日以内の早期死亡を7例(2.3%)認め, そのうち1例は造設にともなう合併症(誤嚥性肺炎)が原因であった. ロジスティック回帰分析の結果, 血中クレアチニン高値, 虚血性心疾患の既往および血中アルブミン低値が早期死亡の独立した危険因子とされた. 心・腎機能の低下した症例, 重篤な栄養失調や消耗が存在する症例では, PEGの適応を慎重に判断する必要がある. 」と述べている。
候補因子の血液所見としてWBC、Hb、Alb、TP、BUNCr、CRP等を挙げており、術後早期死亡の危険因子として最終的に①高い血中クレアチニン値②虚血性心疾患の既往③低い血中アルブミン値と報告している。
ここから考えると心疾患イベントにより急性期リハビリテーションを必要とする患者は②③を合併する可能性が高く、PEGによっても栄養改善効果が乏しい可能性がある。そのため、PEG造設後も主治医やNSTと連携しリハビリテーション内容を慎重に検討する必要があると考えられた。      
             

コメント

このブログの人気の投稿

気管挿管後の反回神経麻痺

国家試験問題からの嚥下復習

大脳基底核と運動の関わり