嚥下と呼吸の神経調節機構

嚥下医学に「嚥下と呼吸の神経調節機構」(越久仁敬 2: 47 -52 2013)が掲載されている。

要旨は「淡路島で在宅診療を行っていた時に, 忘れえない患者さんを診させていただいた. 突然に全く嚥下ができなくなったという. 往診した時には唾液も飲み込めずに洗面器に吐き出していた. 延髄外側の梗塞が原因であったが, 球麻痺以外はWallenberg症候群の症状は何もなく, 睡眠時に中枢性の周期性無呼吸を認めた症例であった. この方は特殊なケースであったが, 嚥下障害を訴える, あるいは家人に指摘される高齢者は非常に多い. その多くは, 原因はわからないが嚥下反射が起こりにくかったり, 遅延が認められたりするケースである. このような嚥下障害患者に対するアプローチは, 専門性や立場によってさまざまであろうが, 本稿では主として嚥下と呼吸の神経生理学の視点から嚥下障害の病態生理と治療法について考察する. 呼吸の中枢パターン生成機構(CPG:Central Pattern Generator)は, 下部脳幹(橋~延髄)に存在する. 」と述べている。
 文中で、「大脳皮質嚥下関連領域の活性化は、嚥下閾値を下げて嚥下を促通させる方向に働くものと考えられる。」と述べている。ということは大脳皮質が嚥下CPGと組み合わせて嚥下活動を行っていると考えられる。そのため、大脳皮質嚥下関連領域の活性化も併せて行う必要があり、今後は具体的方法が求められる。
大がかりな機械に頼らない、一般病院でも可能な大脳皮質関連領域の賦活化方法として、刺激物の使用や座位、立位姿勢への変更などが考えられるが、まだ分からないことが多い。しかし、考慮として、同じ体位の持続は脳活動の賦活化につながらないため、介入最初に何らかの姿勢変更は行うことは有効と考えられた。


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