新たな認知症施策の方向性

PROGRESS IN MEDICINEに「厚生労働省が呈示した新たな認知症施策の方向性(山口晴保, 山口智晴 32: 2591-2596, 2012.)が掲載されている。
 
「はじめに」2012年6月18日に『今後の認知症施策の方向性について』という報告書が, 厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチームから公表された. この報告書は, 藤田厚生労働大臣政務官を主査(チーフ)とし, 医政局, 社会・援護局, 老健局, 保険局の4局長と, 障害保健福祉部長を副査とする省内横断的なプロジェクトチームで, 過去10年間の認知症施策を再検証し, 今後目指すべき基本目標とその実現のための認知症施策の方向性について呈示したものである.
一般病院の医療は医政局, 精神科病院は障害保健福祉部, 介護保険を担当して認知症対策部門があるのは老健局, 医療保険が保険局という縦割り行政の中で, 省内横断的なプロジェクトチームで認知症施策を議論したのは素晴らしいことだが, 一部の専門家・実践者などへのヒアリングで議論がまとめられたようで, 省内各部局の実務者からの意見や実績を基盤とした施策ではなく, 理想論のようなトップダウンの施策の色彩が強い. 」と述べられている。
 
認知症患者が2025年には470万人になるとの報告があり、認知症に対する施策の方向性が求められる中で、2013年より認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)が策定された。
今後は、初期対応を充実させることで、Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia(BPSD)の予防や「身近型認知症疾患医療センター」を設置し、在宅生活のサポートを充実させていく予定である。
これまでは、高齢化社会の対応でゴールドプランが策定されたが、今後は高齢化に伴う症状別の対策を立てることが重要と考えられた。また、認知症に対してセラピストの関わりも重要と思われ、更なる認知症改善に有効なリハビリテーションの開発、実施が望まれると思われた。
 
 

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