誤嚥性肺炎の臨床的特徴
Medical Technology に「 誤嚥性肺炎 の臨床的特徴 」(青木洋介 40: 1094-1097, 2012.)が掲載されている。 要旨は「誤嚥性肺炎は, 市中発症と院内発症とで原因菌が異なる. 前者においては一般の市中肺炎とは異なり口腔内連鎖球菌属が主体となるが, 後者では通常の院内肺炎と同じくグラム陰性菌が主体となる. 誤嚥性肺炎の多くは不顕性誤嚥により発症するため , 正しい診断のためには発症のリスク因子を認識しておくことが必要である. 「はじめに」誤嚥性肺炎という診断名を日常臨床で耳にする機会は非常に多い. 高齢患者が多いことがその理由の1つであると思われるが, 「意識障害(変調)」+「肺炎」を認める患者が誤嚥性肺炎であるとは限らない. たとえば, レジオネラなど重症市中肺炎に起因する意識障害をきたす病態を誤嚥性肺炎と診断することを避けるには, 誤嚥性肺炎を一定の尺度で正しく診断できる必要がある. 「誤嚥性肺炎とは」肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)やインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)のような気道親和性が高い病原菌による肺炎は狭義の市中肺炎とよばれ , これらの病原菌が呼吸とともに下気道に吸引されることで, 健常成人においても肺炎が成立する . 」と述べている。 これまでの研究より、口腔内の不衛生により、口腔内連鎖球菌や口腔内偏性嫌気性菌が増殖することが分かっている。口腔内連鎖球菌を誤嚥することにより嚥下性肺炎を誘発する可能性が高齢者になるほど高くなる。嚥下性肺炎予防の一つとして唾液分泌能向上が考えられる。その理由として、文中にもあるように唾液にはanti-microbial作用があるためである。 文中でも、長期療養患者の誤嚥性肺炎予防には口腔ケアが推奨されているが、本文を読み嚥下性肺炎予防になぜ口腔ケアが重要なのか微生物学的知見より考察することが重要と思われた。