再発を繰り返す誤嚥性肺炎に影響を及ぼす因子

 医療薬学に「再発を繰り返す誤嚥性肺炎に影響を及ぼす因子の検討」佐藤友佳, 小出哲朗, 片山歳也, 藤田征志, 松田浩明, 黒田秀之, 家田俊明, 奥田真弘, 佃和代37(6): 367-370, 2011. )が掲載されている。
要旨は「 肺炎は現在日本人の死亡原因の第4位を占め, それによる死亡者の9割以上が65歳以上の高齢者であり, そのうち4割が誤嚥性肺炎であるといわれている. 高齢者の誤嚥性肺炎は背景因子として基礎疾患を有する例が多く, 再発を繰り返し, 耐性菌の増加につながる恐れがあることから, 再発をいかに防止するかが重要である. 最近では嚥下機能を改善することにより誤嚥性肺炎を予防する効果のある薬剤として, アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬), 半夏厚朴湯, アマンタジン塩酸塩, シロスタゾール等が注目されている. また, 経管栄養施行患者の逆流性誤嚥も肺炎の一因となり, それに対しては栄養剤を半固形化することによる予防効果が報告されている. 市立四日市病院(以下, 当院と略す)では, 誤嚥性肺炎を発症した患者に対し, 再発予防対策として薬剤師よりACE阻害薬, 半夏厚朴湯の処方や経管栄養剤の半固形化を提言し, 再発予防や嚥下機能改善につながった症例を経験してきた.」と述べている。
今回の研究では嚥下機能を低下させる薬剤の投与が誤嚥性肺炎再発リスクを上昇させることが示唆された」と述べられ、実際の薬剤としてChE 阻害剤D2 阻害剤を挙げている。また、抗精神病薬を使用している高齢者は非使用者に比べ肺炎リスクが 3 倍になる文献を紹介している。
入院の長期化に伴い、患者が不穏になると抗精神病薬を投与されることもあるが、肺炎リスクも高まることを留意した、アプローチ(食事形態、摂食・嚥下リハビリテーション導入等)を検討することも大切と考えられた。
                   

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