加齢に伴い増加する口腔内病変

歯学に「加齢に伴い増加する口腔内病変」(田中彰 103(suppl1): 11-15, 2015.)が掲載されている。

要旨は「本邦は, 本格的な超高齢化社会に突入し, 2025年には, 全人口の約30%が65歳以上の高齢者で占められると推測されている. 現在, 将来的な医療, 介護の負担増加に備え, 日常的に介護が不要で自立した生活を送ることができる「健康寿命」の延伸に向けて, 様々な分野で, 介護予防や認知症対策に加え, アンチエイジングに向けた取り組みが行われている. 歯科医学分野でも, 口腔リハビリテーションや口腔ケアをはじめとする種々の対策が進められている. 一方, 加齢による生体の生理的変化 (老化) は, 個体差や栄養, 全身状態などにより差異は生じるが, 避けることのできない現象である. また, 高齢者は複数の疾病に罹患することが多く, 種々の薬物を適用されている. このため, 高齢者に特徴的に好発する各種病変や, 罹患疾病 (基礎疾患) に続発する合併症などは, 「健康寿命」を左右しかねない重大な因子の一つである.」と述べている。

項目4で薬剤関連顎骨壊死(Medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)が述べられている。高齢者で骨粗鬆症でBP製剤を服用している方や化学療法でこれから服用開始をされる方は少なからずいると考えられる。
そのため、問診時にBP製剤の服用をしているかを確認することは必須といえる。もし抜歯等外科的処置を行う際は処置前3カ月、処置後2カ月の計5カ月近く休薬することになり、外科的処置よりもBP製剤服用継続の方が大事であれば、検討する必要がある。
これからの高齢者歯科はタイトルの通り「加齢に伴い増加する口腔内病変」を考慮し、治療に臨むことが重要だと考えさせられた。

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