パパイン含有ゲル併用舌清掃による舌苔除去効果

口腔衛生学会雑誌に「パパイン含有ゲル併用舌清掃による舌苔除去効果」(濃野要, 山賀孝之, 金子昇, 宮崎秀夫 66: 9-14, 2016.)が掲載されている。

要旨「舌苔には多くの細菌が存在するため, 口臭や誤嚥性肺炎の原因となる. 舌苔は主にタンパク質から構成されることから, 本試験は, システインプロテアーゼであるパパインを含有したゲルが機械的舌苔除去に及ぼす影響について検討することを目的とした. 対象は23~53歳の男性13名, 女性7名である. 被験者を無作為に2群に割り付け, 両群とも被験試料およびプラセボを用いた実験に参加する交差研究とした. 試験日に, 2.5gのゲルを舌清掃直前に対象者の舌背に塗布し, 1分間保持させた. その後, 同一験者が舌ブラシにて100~150gの荷重範囲で舌清掃を行った. 舌清掃後, 水道水20mlにて10秒間含嗽させた. 舌苔面積および舌苔厚さ評価のために舌清掃前後においてデジタルカメラによる舌写真撮影を行った. なお, 洗い流し期間は14日間とした. 舌写真の評価は3名の熟練した被験者の情報をもたない歯科医師がソフトウェア上にて視覚的に評価した. 2群間の比較にはWilcoxonの符号順位検定を用いた. 舌苔面積はパパイン含有ゲルを用いたテスト群において, 舌清掃後に有意(p<0.05)に減少した. また, 舌清掃前後における舌苔残留率は, プラセボ群に比べてテスト群が有意(p<0.05)に低かった. 」と述べている。

 本文中で、「舌苔の主な構成成分はタンパク質である」と述べられており、「プロテアーゼが舌苔の除去に有効であると考えている」とのことである。
 口腔ケアの流れとして、舌苔の除去はパパインゲル使用後に物理的に舌苔を除去し、口腔全体は、専用ジェル使用後、口腔清掃、保湿剤の使用の流れで行けば効率のよい、口腔ケアが行えると考えられた。

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