医科歯科・地域連携用口腔機能管理計画書を用いたがん周術期口腔ケアへの取り組み

日本医療マネジメント学会誌に「医科歯科・地域連携用口腔機能管理計画書を用いたがん周術期口腔ケアへの取り組み」(吉川博政, 井口厚司, 冷牟田浩司, 村中光 14(4): 197-202, 2014.)が掲載されている。

要旨は「2012年6月にがん対策推進基本計画の見直しが行われ, がん治療における副作用の予防や軽減など, 医科歯科連携による口腔ケアの推進, 口腔機能管理を専門とする歯科医師との連携強化が明記され, がん周術期の口腔管理がより推進されることになった. 国立病院機構九州医療センターでは医科歯科連携を円滑に行うため, 独自に医科歯科共通の口腔機能管理計画書を作成した. 医師の依頼に基づき歯科口腔外科が口腔機能管理計画書を作成後, 実際の口腔管理は地域の歯科診療所で行うシステムを構築し2012年7月から運用を開始した. 2013年6月までの1年間に323名(手術前255名, 化学療法68名)の依頼を受け, 283名に口腔管理を行った. 129名(手術前94名, 化学療法35名)は当科で管理を行い, 154名(手術前139名, 化学療法15名)は地域の歯科診療所へ管理を依頼した. 依頼内容は歯周病管理が最も多く, 当科と地域歯科診療所で行った口腔管理内容に大きな違いはなかったが, 当科の処置では抜歯, 全身麻酔に関連した歯牙の固定が多く行われていた. 医科歯科共通の口腔機能管理計画書を作成することで院内の医科と歯科, また地域の歯科診療所との連携を円滑に行うことが可能となると思われた. 」と述べられている。

今回文献上で「当院で立案したがん患者周術期口腔機能管理計画書」とあり、がん患者周術期口腔機能管理計画書を作成する際には、歯科だけで作成するのではなく、医科とも協議して作成することが大事だと思われた。また計画書は「手術用、放射線・化学治療の2種類あり」とあり、分ける必要性があることも考えさせられた。
今後も病院内歯科がある所は医科歯科連携が重要になり、また地域の診療所への情報管理も大事であることを学ぶことができた論文であった。


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