経管栄養患者の発熱および肺炎の予防法

医療に「経管栄養患者の発熱および肺炎の予防法 - 歯磨きおよびリハビリテーションの追加の効果 -」(及川隆司, 松坂薫, 大井敦子, 田畑恵太, 清水綾子, 沼田恵, 近江谷留里子, 久保裕司, 山谷睦雄)68(6): 281-290, 2014.が掲載されている。

要旨は「高齢者では脳血管疾患などにともなう嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎を生じやすい. また, 経管栄養を受けている患者では日常生活動作(activities of daily living : ADL)の低下にともない口腔内の衛生環境が悪化する. このため, 細菌を多く含む唾液を誤嚥する場合に肺炎を生じる. 誤嚥性肺炎の予防には嚥下改善をもたらす薬剤の内服や, 看護・介護による口腔内衛生環境改善などの方法が開発されている. しかし, 経管栄養を受けている患者に生じる誤嚥性肺炎の予防法は確立していない. 筆者らは, 寝たきり状態で, 嚥下機能および認知機能の低下を認め, 経管栄養を受けている患者に対し, 看護師による1日1回5分間の歯磨きと, 筋力維持および関節拘縮防止のためのリハビリテーションを新規ケアとして加え, 唾液や喀痰の吸引, 食後の座位保持, 体位変換, 尿道カテーテル交換などのケアとともに実施し, 発熱回数および肺炎回数の減少を認めた. リハビリテーションは関節の拘縮を防ぎ, 看護師によるケアを受けやすくさせる効果を認めた. これらの患者ケアの方法には口腔内分泌物に混入している細菌の誤嚥によってもたらされる肺炎を防ぐ効果があると示唆される. これまでの知見をもとに, 高齢者肺炎および経管栄養を受けている患者の肺炎発症の機序と予防法を紹介する. 」と述べている。

この文献で興味深い箇所は、口腔ケア群とコントロール群を設けているところである。
コントロール群の設定について、文献では「歯ブラシによる口腔ケアとリハビリテーションを実施していなかった時期に入院していた患者」とある。
これまで、口腔ケアの効果については、Yoneyamaらの論文が有名であるが、今回の論文はさらに口腔ケアの効果を比較した論文として要考察していく必要があると思われた。



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