認知症高齢者の摂食・嚥下障害

老年精神医学雑誌に「認知症高齢者の摂食・嚥下障害」(枝広あや子 25: 117-122, 2014.)が掲載されている。

要旨は「高齢者の摂食・嚥下障害については脳血管障害後遺症をベースに対応法が確立されつつあるが, 認知症に対しては対応法が確立されていなかった. これまでの調査における実態把握により, アルツハイマー病(AD)の摂食・嚥下障害では"広義の嚥下障害"を引き起こす要因に着目する必要性が確認された. ADの摂食・嚥下障害には「身体機能障害」に加え, 認知症特有の「環境との関係性の障害」が関係していると考えられる.」と述べている。

認知症の摂食嚥下障害というと、まず嚥下機能よりも拒食、一口量の増加、集中力の低下といった摂食環境の乱れがイメージとして出てくる。また、集中して摂食嚥下リハビリテーションを実施することは難しいため、スプーンの調整による一口量の調整や拒食に対しては代替栄養など環境調整が大事になってくる。
本文中にある、「認知症の方の食支援マニュアル」は認知症の食事への対処方法がわからない方へアプローチを示唆してくれるよいものと思う。
高齢化社会に伴い、認知症高齢者による摂食嚥下障害は増加することが予想されるため、研究の進展に期待していきたい。

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