アセスメントの重要性を再考する

近代口腔科学研究会雑誌に 「TMDの臨床―occlusal splint療法を考察する―」  (朝田文郷 ,  39(1): 71-79, 2013.)が掲載されている。
要旨は「近代口腔科学研究会の例会で, ある会員より提示された症例をもとにTMDの治療について検討が行われた. その会員の診療所では, TMDの治療には, すべての症例においてocclusal splintを用いているそうである. 検討の結果, その会員のTMDの治療は多くの問題を含んでいて, それは医療行為とは呼べないという意見が会場から数多くあがった. 特に問診も含め診査に関してはまったく不十分であり, それでは患者の状態を正確に判断し診断を下すことさえできないということが示唆された. また, occlusal splintはTMDの治療の能力がない歯科医師が何も考えずに用いているだけの道具であるとか, "顎関節症"という言葉をいまだに使用している日本の歯科界はそのことだけでも世界から取り残されているなど, 会員から多くの意見が出された. 」と述べている。
 本文は顎関節症の治療の検討であるが、症例検討の内容を逐語録として掲載されており、内容を読むと、症例提示した先生の診断根拠に乏しいことが記載されていた。これはリハビリを実施する際のアセスメントにも通じるものがあり、リハビリ依頼に診断名は記載されているものの、具体的にどのようなアプローチを行うかは適切なアセスメントに基づく。
 本文中に「A先生はただの思いつきで関節円板が転位したとか,顆頭の動きが制限されているとか,言っているだけだと思います。」と述べられており、思いつきによるアセスメントであれば、治療法も違ったものになり、結果としてニーズは満たされないことになる。自分にも当てはめてみると、「なぜこのアプローチをしているのか」と聞かれたときに適切な根拠を説明できることが肝要であり、それは適切なアセスメントに基づかなければならないと考えられる。
 
 

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