NHCAPにおける誤嚥性肺炎のマネジメント

治療に「NHCAPにおける誤嚥性肺炎のマネジメント」(寺本信嗣 94: 49-54, 2012.)が掲載されている。

要旨は「医療・介護関連肺炎(NHCAP)は, あらたに定義された介助・介護を要する人に発症した肺炎であり, これらの患者では誤嚥のリスクが高い. そのため, NHCAPでは誤嚥性肺炎の頻度が高く, 治療についても, 肺炎治療と誤嚥治療を併用する必然性が高い. 抗菌薬治療は入院であれば, 誤嚥に関連する病原体に抗菌活性を有するSBT/ABPCを中心に投与戦略を検討する. NHCAPには外来治療症例もあるため, この場合はレスピラトリーキノロンが有力な選択肢となる. これ以外に, 嚥下障害への対策と経口摂取への対応が必要になる. 肺炎予防には, 誤嚥内容物の細菌量を減少させる口腔ケアが有効である. また, 嚥下障害を悪化させる, 喫煙, 抗コリン性薬剤などの減量・中止も考慮する. 肺結核後遺症, COPDなどの基礎疾患を治療して, 肺機能を最善にしておく必要がある. さらに脱水の補正と栄養改善を図る. 肺炎球菌はNHCAPでも主要な起因菌であり, 肺炎球菌ワクチン接種が誤嚥性肺炎の予防にも寄与する.」と述べている。
文中で、①嚥下機能は使われないと退化すること、②発声の筋肉群と嚥下の筋肉群はオーバーラップしているため,積極的に発声を促し,会話をすることが嚥’ド機能の回復に役立つことを述べている。
これは、誤嚥しても肺炎を起こさせないため、食前・食後に口腔ケアを実施してから早期に嚥下リハ&経口摂取を実施する必要性を述べている。また、喀出能力向上を高める必要性も述べている。しかし、患者が虚弱な状況では、意欲や発声が弱く十分な喀出につながらない可能性がある。
リハ栄養の概念を導入しながらも並行して喀出能力を高め、かつ適切な抗菌薬選択がNHCAP患者治療に求められると思われた。

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