舌骨上筋群に対する経皮的電気刺激と運動療法の併用治療が嚥下障害患者に及ぼす影響

日本物理療法学会会誌に「舌骨上筋群に対する経皮的電気刺激と運動療法の併用治療が嚥下障害患者に及ぼす影響」(北裏真己, 松井有史, 今井教仁, 杉下周平, 野田哲哉, 三谷剛洋, 庄本康治, 村田和弘, 角谷直彦, 20:27-34, 2013.)が掲載されている。
 
要旨は「本研究の目的は舌骨上筋群のみに電極を貼付したVitalStim(VS)とShakerEx(SE)の併用治療(CT)が嚥下機能に及ぼす影響を調査することとした. 【方法】 対象は, 3施設に入院中の嚥下障害患者28名(平均年齢: 78.97±10.27歳)とし, VSとSEの併用治療(Combination Therapy: CT)群14名とSE群14名の2群に分けた. 介入は両群ともに30分/日, 5回/週, 4週間実施した. また, 通常嚥下訓練を30分追加し, 合計60分とした. 評価項目は嚥下機能スクリーニングテスト(MASA, FOIS, RSST, MWST), 嚥下造影(定性評価, 定量評価, 舌骨移動距離)とし, 介入前後に測定した. 【結果】 MASA, FOISは両群において, 介入前後で改善していた. 舌骨上方移動距離の変化率はCT群のほうが大きかった. 【結論】 CTは舌骨上方移動距離を延長させる傾向があったが, 嚥下機能についてはSEと同等であった. 」と述べている。

本研究の考察として、CTで嚥下機能がSEと同等の理由として舌骨前方移動が改善しなかったことを述べている。となると嚥下の改善に関しては舌骨挙上よりも舌骨前方運動を改善することが重要になる。舌骨を前方移動させる舌骨上筋群といえば、オトガイ舌骨筋が出てくる。
今後、オトガイ舌骨筋を刺激して舌骨前方移動を促すアプローチを調べてみたい。




 
 
 
 
 
 
 

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