下顎水平埋伏智歯抜歯時に生じた皮下・縦隔気腫の1例

今度、下顎水平埋伏智歯を抜歯することになり、調べてみた。
 日本口腔科学会雑誌に「下顎水平埋伏智歯抜歯時に生じた皮下・縦隔気腫の1例 」 ( 土肥昭博,原田清, 樋口雅俊, 中野佳央, 草間幹夫62(2): 192-197, 2013. )が掲載されている。

要旨は「 気腫は種々の原因により組織が損傷し, 同部より空気が. 侵入することで発生するが, 顎口腔領域においても抜歯, 根管治療, 骨形成術や外傷等の偶発症として報告されている. 気腫は感染を伴うことで重篤な病態に陥る可能性を有するため, 発生の予防, 発生した場合の対応等を熟知しておくことは極めて重要と考えられる. 今回, われわれは下顎水平埋伏智歯の抜歯後に, 側頭部から心嚢周囲に至る縦隔まで広範囲に及ぶ気腫を生じた1例を経験したので, 報告する.
 「症例」患者:25歳, 女性. 初診:2009年10月. 主訴:左側下顎埋伏智歯周囲の違和感. 既往歴:特記事項なし. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:左側下顎埋伏智歯周囲の違和感を自覚し2009年10月に当科を初診した. 現症:全身所見;体格は中等度, 栄養状態は良好であった. 口腔外所見;顔貌は左右対称で, 他に特記すべき所見はなかった. 口腔内所見;左側下顎智歯は歯冠の1/3が口内に露出していた. 」と述べている。
文献で、患者は水平埋伏智歯を抜歯後呼吸苦のため、即日入院となっている。
偶発症については、事前の説明が大事であり、特に今回のような縦隔への空気(図1)や細菌が侵入した場合、重篤な症状を呈する可能性があるため、常に留意するべき事項と思われる。
そのためには、解剖学的知識を常に考慮し知識を高めておくことが大事と思われた。

図1 矢印部分に空気侵入を思われる透過像確認

                  






                    

コメント

このブログの人気の投稿

国家試験問題からの嚥下復習

口腔アセスメント(ROAG)について

大脳基底核と運動の関わり