CGA簡易評価「Dr.SUPERMAN」

Geriatric Medicineに「医療現場における高齢者総合的機能評価(CGA)簡易版「Dr.SUPERMAN」の有用性の検討」(岩本俊彦, 清水聰一郎, 金高秀和, 小山俊一, 櫻井博文, 馬原孝彦, 羽生春夫 50: 1070-1075, 2012.)が掲載されている

要旨は、「長寿高齢社会を迎えたわが国の医療現場は高齢者で溢れ返っている, 一般に, 高齢者の多くは老化や疾病が様々な形で組み合わされた個体である. その結果, 単に臓器・器官の障害ばかりではなく, 生活機能に支障を来している者も少なくない. しかし, このような生活機能の障害が従来の医療で深く認識されることはなかったといっても過言ではない. また, 自立した生活が困難になりつつあるか, 既に困難に陥っているにもかかわらず, 家族や社会から気づかれないまま生活に耐えている高齢者も増加している. このように複雑多岐にわたる問題が高齢者を悩まし, QOLを著しく損ねているのが現状である. したがって, この現状に少しでも早く気づき, 高齢者を救済しようとする意識や行動がわが国の医療現場に求められる. この点で高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)は不可欠である. 」と述べられている。

筆者らは、その簡易版として「Dr.SUPERMAN」を開発している。
それぞれ「Dr.」は「医師による身体診察」
      「S:sensation」は知覚
      「U:understanding of speech(communication)」は言語理解
      「PER」は服薬状況(pharlnacy)および介護者(key person),
      「M」は老年症候群である、精神(mentality),運動(mobility),排尿(micturition)
      「A」はADL(activities of daily living)
      「N」は栄養(nutrition)
      である。
以前から、高齢者のADL評価としてFIMやBIは知っていたが、CGAについては名前のみであった。CGA評価をみると、高齢者の心理、機能、環境についてチェックするようになっている。(嚥下機能評価として水飲み検査がある)
今回取り上げた「Dr.SUPERMAN」はCGAの簡易版であり、平均9.2分で実施できる検査である。
本文で述べられている通り、スコア化は難しいかもしれないが、高齢者の心理状態、機能全体を大まかに理解するのには役に立つ検査と思われた。
また、リハビリ医が最初に評価して、リハビリ依頼を出すときに添えられていると、セラピスト個人の能力によらない共通した認識が可能になると思われた。

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