介護老人福祉施設における口腔ケア・マネジメントの効果

老年歯科医学に「介護老人福祉施設における口腔ケア・マネジメントの効果」花形哲夫,田村文誉,菊谷武,片桐陽香,関野愉,久野彰子,古西清司,高橋幸裕,矢島彩子,吉田光由,鷲見浩平,三塚憲二23,4,2009)が掲載されている。
要旨は「本調査は,介護老人福祉施設における歯科衛生士による口腔ケア・マネジメントの有効性を明らかにすることを目的とした。対象は,山梨県にある介護老人福祉施設に入居中の要介護高齢者142名で,A施設は82名(平均年齢85.9±7.5歳),B施設は60名(平均年齢85.6±8.3歳)である。調査期間は8ヵ月で,初回,4ヵ月後,8ヵ月後において口腔衛生状態の視診と口腔内細菌数の測定を行った。A施設では,歯科衛生士による口腔ケアの直接的介入を対象者20名に対して行い,他の対象者に対しては口腔ケアに関する情報提供と相談のみ行った。B施設では,歯科衛生士が口腔ケア・マネジメントの手法を用い,すべての対象者に対して個々のスクリーニング,アセスメントに応じたケアプランをたて,施設職員とともに口腔ケアの介入を行った。また今回の口腔ケア介入終了時に各施設職員へ意識調査のアンケートを行い,施設間の比較を行った。
本研究の結果より,口腔ケア・マネジメントは,施設の状況,歯科衛生士の介入方法などを含めて全員に対してプランをたてていくことで効果があることが示され,本介入調査により口腔ケア・マネジメントの重要性が確認された。」と述べている。
昨日、菊谷先生の講演会に参加したが、口腔ケア実施前よりも実施後の方が口腔内細菌が多いことを話していた。そのため、口腔ケア後の処理を誤ると「口腔ケア性肺炎」につながる可能性があるとのことであった。予防方法としてしっかり吸引することが重要と説明していた。施設のみならず、病院でも口腔マネジメントをできる人材はまだまだ必要な印象を受ける。少なくとも現在、施設・病院内で口腔ケアに携わる者は、誤った方法で実施しないよう常に情報収集を心がけることが大切と思われた。
                  

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