嚥下障害のリスクマネジメント

栄養-評価と治療に「栄養管理中に遭遇するリスクとその対策―病態別リスクマネージメント― (7)嚥下障害」(藤谷順子27(2): 135-137, 2010.)が掲載されている。             
 要旨は「嚥下障害はさまざまな要因で起こり, 入院中の高齢者では生じやすい. また, 全身状態や栄養状態が悪いと肺炎を起こしやすい. 嚥下障害が軽症であれば食事内容(形態)の調整と食べ方の指導, 中等症であれば上記に加えて喀出訓練や嚥下機能訓練, 併用栄養方法の検討, 重症であれば非経口栄養での十分な栄養補給と嚥下機能訓練を検討する. 嚥下障害発見までの栄養摂取量の実績の確認も重要である. 嚥下障害はさまざまな要因で起こる. たとえば脳卒中では急性期には50%以上に嚥下障害が生じるが, 遷延するのは20%以下との報告がある. しかし実際には, 脳卒中の急性期管理には嚥下障害は想定されているので, 多くの場合, 適切な対応が行われている. むしろ, 食事摂取量不足から栄養管理介入が必要になったような症例で評価してみると, 嚥下障害があり, それが食事摂取量の制限要因になったり, 肺炎のリスクとなったりする症例は, それまでそれなりに摂食していた高齢者・超高齢者に多い. 」と述べている。
 文中で、脳血管疾患の嚥下障害に対しては、「治療体系が整いつつある」と述べており理由として、「全身状態が比較的良好であり、嚥下障害の要因が麻痺によることが多い」と説明している。しかし、それ以外の嚥下障害者については、障害やパターンが異なるため、「包括的対応が必要」なことを述べている。実際、経験上であるが嚥下障害のため、誤嚥性肺炎を発症し廃用により更に嚥下障害が悪化する症例は脳血管障害性嚥下障害より発症、回復課程にバラつきがあると思われる。そのため文中にあるように「嚥下訓練だけでは嚥下障害に対応できない」ことを理解した上で栄養や嚥下リハを上手く組合わせることが重要と思われた。                

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