大人の発達障害とセラピスト!?

今回は、閑話休題的内容にしました。
日本心療内科学会誌に「発達障害に気づかない大人たちへのプライマリー・ケア(初期対応)」(星野仁彦15(4): 230-236, 2011.)が掲載されている。  
要旨は「発達障害は各種精神障害の中でも, 本人にとっても周囲にとっても気づかれにくく, 「見えない障害」であると言える. 知的機能が低い知的障害者や低機能自閉症(広汎性発達障害)は, 比較的早期(幼児期・学童期)に発見されて, 医療・教育・福祉の対象になりやすい. しかし, いわゆる軽度(高機能)の発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)やアスペルガー症候群(AS)などの発達障害は障害と気づかれないまま, したがって医療や特別支援教育の対象にならずに, 親や教師からの過大なプレッシャーやいじめの対象になり, 思春期・青年期になって, 自己評価が低くなり不登校, 反抗挑戦的行動, 行為障害(非行), うつ状態などを示して学校に不適応となることがある. 更に彼らは成人になるとうつ病, 不安障害, 各種の依存症(アルコール, 薬物, 過食, 浪費, ギャンブル)などに発展することも少なくない.」と述べている。
 例としてBさんのケースが述べられているが、「仕事も人間関係も全て自己流」。上司から「ジコチュー」と評価され、日常生活でもB 男さんはだらしなく、「食べっぱなし,脱ぎっぱなし,置きっぱなし,読みっぱなし」で,部屋の中はメチャクチャである。と決して他人事に聞こえない所が恐ろしい。
また、「大人の軽度の発達障害者は,社会への適応レベルや職業,年収などが千差万別で人生の満足度に大きな違いがあり、その境遇にはまさに天と地ほどの差がある。」と適切な職業選択の重要性についても触れている。
 職業で考えると、セラピストはチームで関わる職業であり、自分勝手な行動が患者のみならず同僚にも迷惑をかける。そのため、自分がうまくいかないと感じたら早期受診による適切な治療が重要と思われた。言い方は悪いかもしれないが、適切な治療を受けない(認めない)ためうつ病となり、長期欠勤となってしまったら、自分だけでなく周囲も辛い思いをするのではないだろうか。
                        

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