Rehabilitation for Swallowing Disorders after Surgical Procedure for Head and Neck Cancer

日本気管食道科学会会報に「頭頸部術後嚥下障害のリハビリテーション」(藤本保志, 中島務62(5): 494-500, 2011. )が掲載されている。要旨は「頭頸部癌手術後の嚥下障害に対するリハビリテーションにおいては, 身体機能のみならず活動制限や参加制約に対しても取り組むことが重要である. このような多面的な取り組みのためには医師単独でなく, 言語聴覚士, 看護師らとのチームアプローチが望まれる. 機能障害は切除された部位が担当した機能から予測されるが, 予測される機能予後に基づいて術前から訓練計画を立てる. 手術前からのリハビリテーションは訓練効果をあげるのみでなく, 精神的ケアにも役立つ. 手術直後は誤嚥予防, 肺炎予防が中心となるが, 創治癒後には積極的に訓練を開始する. 訓練は基礎的訓練にひきつづき段階的摂食訓練を加えていくが, その指導においては適切な機能評価(病態診断)に基づいて, 病態に応じた訓練法の選択や, 摂取可能食品群の理解が必要である. さらに, 代償不可能と判断される場合には喉頭挙上術や輪状咽頭筋切除術, 披裂軟骨内転術などの手術治療も考慮する. 」と述べている。
手術前からのがんリハビリテーションはADL低下や廃用症候群の予防に役立つ。特に嚥下障害は時間の経過とともに誤嚥性肺炎を引き起こすriskとなるため、手術前から摂食嚥下リハビリテーションを実施することが重要と言える。また、文中で手術前からの嚥下スクリーニンについて述べられているが、新設されたがんリハビリテーション算定に私自身積極的に取り組む姿勢が必要と思われた。

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