高齢者の嚥下障害に対する理学療法

理学療法に「高齢者の嚥下障害に対する理学療法」 (新屋順子28(9): 1136 -1143 2011)が掲載されている。
要旨は「嚥下機能は, 加齢に加え, 併存疾患, 使用薬物などからさまざまな影響を受けやすく, 健常高齢者でも摂食嚥下場面で違和感を訴える場合があり, 日常からの観察が重要である. 嚥下障害を有する症例に対するリハビリテーションでは, 嚥下機能向上のための介入のみならず, 身体機能改善や環境調整など総合的な介入が必要である. 誤嚥性肺炎を発症した症例は低栄養, 体重減少がみられることが多いため, 離床や運動療法を進める際には栄養状態にも注意する必要がある.」と述べている。
文中に摂食・嚥下リハビリテーションチームの中での理学療法士の役割として、1)姿勢管理・ポジショニングでの介入2)誤嚥性肺炎予防での呼吸理学療法による介入3)ADL低下予防を目的とした離:床,運動機能維持のための介入4)頚部および体幹の関節可動域確保5)口腔内の保清,観察とロ腔へのアプローチが挙げられている。
特に摂食時の姿勢は重要であり、急性期では食事をベッド上で摂食することが多い。その場合、電動ベッドの折り曲がる位置が身長や姿勢と適合していないと傾いた状態で摂食していることがある。
また、ベッドの過度な足部屈曲は腹圧上昇を誘発し食欲減退につながる可能性がある。
そのため、ベッドの機能で骨盤のすべりを予防するのではなく、アンカーサポートを活用し滑りを予防することは必要と考えられた。病院によっては、理学療法士が摂食姿勢をみる余裕のないところもあるため、言語聴覚士もシーティングから誤嚥性肺炎を予防する意識をもつことも重要と言える。

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