栄養管理とリハビリテーション

The Japanese Journal of Rehabilitation Medicineに「栄養管理とリハビリテーションについて」(稲川利光: 5176-5176, 2010.)が掲載されている。
 要旨は「【目的】当院は稼働病床数606床の急性期の総合病院である.今回,当りハ科に依頼された患者の入院中の栄養状態とリハの効果などについて報告する.【対象・方法】2008年4月~2009年3月までの間にリハを行った(1)脳血管障害283例,(2)整形外科疾患198例,(3)廃用症候群665例の3群を対象とし,各群におけるリハ介入時とリハ終了時(退院時)での血清アルブミン(ALB)の推移, ADL(Bethel index:BI)の変化,転帰などについて調査した.【結果】リハ介入時と退院時とで比較すると,ALB:3.5 mg/dl以下の患者の割合は(1)で51%から59%に,(2)で57%から84%に,(3)で72%から85%になり,3群とも入院中に低栄養となる患者が増加したが,B.1の平均値は(1)で36から66に,(2)で29から85に,(3)で43から63になり,3群ともADLは改善した.このような状況において,ALB値が向上する患者ではBIの伸びはより顕著であった.嚥下障害を有する患者の割合は(1)で29%,(2)で1%,(3)で17%であり,嚥下障害を有する患者ではALB値は低い状態で推移し,BIの伸びは悪く,入院期間は長期化した.自宅復帰率は(1)で51%,(2)で82%,(3)で59%であった.【考察】(1),(2),(3)群ともに栄養状態が改善している患者でADLの改善がより高かったこと,嚥下障害の有無は栄養状態やADLの変化,入院期間などに影響することなどから,リハ対象患者には積極的な栄養管理が必要と思われた.また,低栄養かっ低いADLで退院する患者が多いことから,栄養管理とADLの維持は病院と地域との連携のもとで行われるべき課題だと思われた.」とある。
 嚥下障害の影響について述べられているが、嚥下障害は誤嚥性肺炎を誘発する要因であり、誤嚥性肺炎を呈することで、入院の長期化につながると考えられる。また、ALB停滞の原因として嚥下障害で入院していると食事は嚥下食になり、栄養量が増加しない(嚥下食は量の割にKcalが少ない)。そのため、入院患者に対して(特にリハビリ必要者)は早期摂食・嚥下リハビリテーション介入が必要と思われた。

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