姿勢による咳閾値の比較検討

呼吸に「健常者の坐位と仰臥位でのカプサイシン咳感受性試験による咳閾値の比較検討」 (渡邉直人, 福田健 26(6): 575-580, 2007. )が掲載されている。
要旨は「気道過敏性は体位により異なることが報告されている. 今回筆者らはそのことに着眼し, 健常者31名を対象に咳閾値を坐位と仰臥位で求め, 体位により咳閾値に差異があるか否かについて検討した.
 方法:坐位にてカプサイシン咳感受性試験を行い, 咳閾値を求めた. その2週間以内に仰臥位にて同様に咳閾値を求め比較検討した. また各々の体位において, カプサイシン吸入前後のPEF, FEV1.0, FVC, V50, V25を測定し比較検討も行った.
  結果:坐位における咳閾値の平均は16.71μM, 仰臥位における平均は13.99μMで有意差は認められなかった. また坐位ではカプサイシン吸入後にPEF, FEV1.0は変動しなかったが, 仰臥位では有意に低下していた. 坐位と仰臥位での比較では, カプサイシン吸入後に仰臥位でPEF, FEV1.0の有意な低下を認めた. V50, V25は仰臥位において前値より既に有意な低下を認めていた. 以上より, カプサイシン咳閾値は体位により変動しないが, 仰臥位により気道収縮の影響を受けやすいことが示唆された. 」と述べている。
 著者らは文中で仰臥位のみでも、末梢気道収縮をきたす可能性を述べている。誤嚥性肺炎予防で安静時ギャッジアップで対応するが、これはGERDや不顕性誤嚥のリスクを減らす目的である。
今後、仰臥位が末梢気道収縮を起こすことが分かれば、不顕性誤嚥予防と末梢気道収縮予防に一番適したベッド角度が出てくるのではと思う。

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