脳機能と脳画像2

昨日、再度「脳画像の見方」について昭和大学医学部神経内科石原健司先生の講演会に参加した。普段、脳卒中によらない摂食嚥下障害を担当することが多いため、知識の再確認で大変勉強になった。
日本保健科学学会誌に「MRIで淡蒼球・黒質に異常信号を認め高圧酸素療法が効奏した一酸化炭素中毒の1例」(吉澤寿9(4): 268-275, 2007. )が掲載されている。
要旨は「MRIの拡散強調画像で両側淡蒼球, 黒質に高信号を認め, 高圧酸素療法(hyperbaric oxygen therapy:以下HBO)が効奏したCO中毒の1例を報告した. 症例は25歳男性で, 飲酒後灯油ストーブ前で就寝し, 翌日倒れているところを発見された. HBO目的で入院となり, 第1病日の頭部MRI検査において両側淡蒼球に拡散強調画像で高信号を認めた. 第13病日の頭部MRI検査では両側黒質にも拡散強調画像で高信号を認めた. 計19回のHBOを施行し, 経過良好にて第34病日退院となった. CO中毒の中枢神経病変は, 淡蒼球, 黒質, 大脳白質など脳内の鉄の分布と関連している. CO中毒の脳組織傷害は, COの還元作用でフェリチンに蓄えられた非ヘム鉄が遊離イオン化し, Femton反応およびHaber-Weiss反応によってH2O2から.OHが生成され, oligodendrocyteやミエリン鞘の傷害, 神経細胞死を引き起こしている可能性がある. 」と述べている。
CO中毒の主な症状はパーキンソン症状であり、文献中でも述べられている。また、意識レベルの浮動性も大きく、パーキンソン症状と合わせ、リハビリテーションも遅々として進まないことがある。常に症状の変化と脳画像の変化を確認しアプローチを検討していくことが大切と思う。
講演終了後、この文献を読んだ際、淡蒼球の場所がすぐ確認できた。常に知識の再確認は大事であると考える。

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