人工呼吸管理患者のCOMアシスト

埼玉県包括的リハビリテーション研究会雑誌に「電気式人工喉頭の利用がコミュニケーション手段獲得につながった人工呼吸管理中の重度失語症例」( 杉本真美, 伊藤智彰, 伊藤淳子, 宮脇智子, 荻野亜希子, 下松智哉, 山本満 10(1): 44-47, 2010.)が掲載されている。
 要旨は「AACの使用が困難な人工呼吸器管理中の重度失語症患者1例に電気式人工喉頭(以下電気喉頭)を用いた言語機能訓練を実施し, コミュニケーション能力に改善を認めたので報告する. 症例は, 外傷性くも膜下出血にて入院. C1-2の硬膜下血腫除去術施行, 人工呼吸器管理. 四肢麻痺, 口腔顔面失行, 視覚性注意障害, 重度非流暢性失語を認め, 随意運動は頷きと開閉眼のみであった. 口型表出は内容の推測困難であった為, 電気喉頭で読話を補助し, 言語機能訓練を実施. 口型表出での簡単な意思伝達が可能となり, コミュニケーション意欲も向上した. 人工呼吸器管理中の失語症例でも, 電気喉頭を利用した訓練がコミュニケーション手段の獲得に有用であった. 」と述べている。
 人工呼吸に限らず、気管切開部に人工鼻や酸素流入がある場合も音声言語によるCOMは困難である。その際、早期スピーチカニューレに交換すると、予想以上に分泌物が多く結局複管タイプで内筒留置になるケースもある。その場合、話すときだけ、スピーチバルブにして、要件が伝わったら、また内筒を入れる。
 電気式人工喉頭は、スピーチカニューレの前段階として、患者の意図が伝達困難時、有効と考えられる。人工喉頭を使用により、ある程度音声として認識できれば、ジェスチャーや文字盤による意図理解よりお互いに満足なCOMにつながる可能性があると思われた。

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