日本耳鼻咽喉科学会会報 に「
放射線性下顎骨壊死症例の検討」 (松尾美央, 力丸文秀, 檜垣雄一郎, 冨田吉信 113(12): 907-913, 2010. )が掲載されている。
要旨は「放射線治療は頭頸部悪性腫瘍の治療にかかせないが, まれに重篤な局所の障害を起こすことがあり, 放射線性下顎骨壊死もその一つである. 今回当科における放射線性下顎骨壊死症例を検討したところ, 下顎骨を照射野に含む症例638例中, 骨壊死を来したのは16例2.5%であった. 原発部位別では舌以外の口腔癌が, 線量別では81Gy以上で, 線源別ではX線+電子線で骨壊死が有意に高く発症していた. 発症時期は照射後1年以内の発症が8例と最多で, その後も5年間は骨壊死の発症が認められた. 治療については, 保存的治療での治癒例が44%で, 手術的加療で治癒した例を含めると最終的な治癒率は63%であった. 一方術後病理標本で癌の混在が判明した症例があり全体の25%を占めた. また保存的加療中や手術的加療後に, 嚥下性肺炎によって死亡した症例が2例存在した. 以上より下顎骨を含む放射線治療では線源と線量に留意し, 骨壊死発症後の治療では癌の混在と嚥下機能障害に注意すべきと思われた. 」と述べている。
ここで考えることとして、放射線性下顎骨壊死を発症すると、口腔期障害を呈すると思われるが、嚥下性肺炎を発症している点である。論文では感染リスクについて触れているが、口腔期障害を呈し、嚥下困難になるとSAriskが高まり容易にaspiration pneumoniaになる。化学療法に伴う摂食嚥下障害(特に誤嚥性肺炎との関連)については、まだ文献検索を行っていないため、今後調べていきたい。
コメント
コメントを投稿