骨棘と嚥下障害2

JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATIONに「 頸椎/頸髄病変と嚥下障害」(藤島一郎, 佐藤友里, 橋本育子17(12): 1187-1193, 2008.)が掲載されている。
 要旨は「頸椎の前には嚥下で大変重要な役割をする咽頭がある. 頸椎の疾患や加齢変化で骨棘や前縦靱帯の骨化, alignmentの異常などが生じると嚥下の咽頭期に障害をきたしうる. 一方, 頚髄の病変が直接嚥下障害を起こすことはないが, 呼吸筋の麻痺などで嚥下と関連が深い呼吸機能の低下を生じる. また, 頸髄病変はしばしば延髄病変と関連があり, 延髄が原因の嚥下障害を伴うことがある. さらに, 高齢者では多発性脳血管疾患による潜在的嚥下障害があり, これが頚椎頸髄病変によって顕在化してくることがある. 」と述べている。
 嚥下スクリーニングではわかりにくい骨棘による通過障害にも触れており、「骨棘はtraction
spursやclaw spondylophytesとよばれ椎体辺縁が鳥のくちばし状に飛び出るもので上下椎体の骨
棘は癒合しない.先に述べた頸椎弓縦靱帯骨化症でみられる骨棘は上下椎体のものが骨化癒合
してmarginal syndesmophytesやnon marginalsyndesmophytesとよばれる.」
 また、「VFVEは大変有力な情報を提供し,呼吸器合併症を未然に防ぎながら安全な経口摂取につなげることに役立つ.」と述べており、特に骨棘については、VFVEがないと適切なリハビリテーションが難しいと考えられる。
 VFVEが実施できない状況での骨棘の判断は、本人自覚や頚部の固さから判断し、疑ったら回旋嚥下を実施することである程度の判断は可能と思われる。

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