東京慈恵会医科大学雑誌に「
脳卒中後嚥下障害に対する低頻度反復性経頭蓋磁気刺激と集中的嚥下リハビリテーションの併用療法の経験」(百崎良, 安保雅博, 角田亘, 小林一成, 粳間剛126(3): 143-147, 2011.)が掲載されている。
内容は「嚥下障害は脳卒中後にみられる後遺症の一つである. 脳卒中急性期には約55%の患者に嚥下障害がみられるとの報告もありその頻度は高い. また嚥下障害の存在は脳卒中患者のADL(Activities of Daily Living)・QOL(Quality of Life)・生命予後に影響を与えるためその対応は大きな課題である. しかし, 嚥下障害の治療としてのリハビリテーションの取り組みは比較的最近になってからのことであり, 効果のある手法は限られているのが現状である. 近年, 脳卒中後の麻痺や高次脳機能障害に対する反復経頭蓋磁気刺激:repetitive transcranial magnetic stimulation(rTMS)の有用性について報告がなされるようになったが嚥下障害に対する介入報告はきわめて少数の予備的な研究に留まっており, 嚥下リハとの併用療法についても知られていない. 」と述べられている。
刺激方法は左大脳半球(健側)運動野で喉頭挙上筋群の運動誘発電位が最大となる部位に1日2回20分・1Hzの低頻度反復経頭蓋磁気刺激を行っている。
また、「rTMS施行中に,咽頭部を内視鏡で観察したところ嚥下様運動の出現が観察された.」と述べている。
ポイントはアプローチを併用している点である。嚥下リハにrTMSを組み合わせることで、改善効果を高めたと考えられる。これまでは、嚥下リハアシストとして頸部電気刺激が知られているが、今後はrTMSを使用した摂食嚥下障害改善研究が進んでくると考えられる。
今後の課題として嚥下リハとrTMSとの併用における費用対効果の問題が挙げられる。まだ、自費や科研費によるところも大きく、将来の保険適応に向けて今後の症例数蓄積が望まれる。
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