小児の摂食・嚥下障害


いつも成人を取り上げることが多いため今回は、小児の嚥下障害を取り上げてみた。
臨床栄養に「小児の摂食・嚥下障害」(綾野理加 111(4): 496-502, 2007.)が掲載されている。
要旨は、「小児の摂食・嚥下障害の原因 摂食・嚥下障害を認める疾患 小児の摂食・嚥下障害を認める疾患には, 形態的な問題によるもの, 神経学的な問題によるもの, 心理的問題によるものがある.
 1:形態的な問題によるもの 口腔, 咽頭, 喉頭, 食道における形態の異常によるもので, 口唇裂, 口蓋裂, 小顎症などで摂食・嚥下障害を認めることがある. 口唇裂では乳首頸部の封鎖が困難なため, 哺乳に障害を認めることがあり, 手術後も食物の捕食にかかわる上唇の動きが悪い場合がある. 口蓋裂でも術前まで哺乳障害を認めることがある. また, 小顎症では, 呼吸と嚥下の協調の問題を認めることがある.
 2:神経学的な問題によるもの 脳の障害や全身の緊張や弛緩によって摂食・嚥下障害を認めることがあり, 先天的な疾患は脳性麻痺など, 後天的な疾患では低酸素性虚血性脳症などがあげられる.
3:心理的な問題によるもの 長期にわたる経管栄養摂取などによって口を使う経験の少なさ, むりやり食物を口に入れられたこと, 嘔吐など不快な経験などで拒食を認めることがある. また, 摂食機能に問題がないにもかかわらず, 栄養摂取を経管栄養に頼る経過依存症についても明らかになってきている. 」と述べている。
 ここで考えることとして1,2と3は別個独立したものではなく、関連していることである。特に口蓋裂児の授乳訓練にはHotz床作成がよく言われるところである。しかし、必ず口蓋裂児=Hotz床適応についてはよく検討する必要がある。欠損部位によっては、Hotz床がなくても姿勢調整により授乳可能になる可能性がある。
 重要なのは、アプローチを画一的にテキスト通り実施するのではなく、患者(児)に合った内容で実施することと考える。

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