超音波装置を用いた嚥下動態評価

Neurosonologyに「超音波装置を用いた嚥下動態評価 (冨井康宏, 上原敏志, 鳥居孝子, 松岡秀樹, 豊田一則, 峰松一夫, 23(1) : 5-8, 2010)が掲載されている。
目的は「 ベッドサイドで簡便に実施できる嚥下評価法には, 改訂水飲みテストや段階的フードテスト, 反復唾液嚥下テストがある. しかし, これらは定性評価であり, 検者依存性が高い, 画像により嚥下動態を評価する方法には, 嚥下造影検査(Videofluoroscopic examination of swallowing;VF)や嚥下内視鏡検査(Videoendoscopic examination of swallowing;VE)がある. しかし, VFはベッド上安静が必要な発症早期での施行は困難であり, X線被曝や造影剤の誤嚥といった問題がある. VEはベッドサイドで施行できるが, 咽頭期の評価が主で, 口腔期の評価は不十分であった.
 近年脳卒中診療において汎用されている超音波検査は,簡便性,非侵襲性,リアルタイム性に優れている.本技術を応用して,嚥下障害を評価できれば有用であると考えた.われわれは,「ベッドサイドでのロ腔期嚥下評価に超音波検査が有用である」との仮説を立て,以下の検討を行った.」と述べている。
 ポイントは文中で述べられている、「嚥下障害のある急性期脳卒中患者では,性,年齢をマッチさせた嚥下障害なしの例と比較して,舌上昇速度が有意に遅かった.とあり、急性期脳卒中患者の舌運動機能低下を示唆している。舌運動機能低下は急性期のみならず、慢性期や脳卒中以外の疾患でも起こりうる可能性がある。そのため、今後様々stage別、疾患別報告が望まれる。

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