elderly's ingestion and swallowing traning

日本胸部臨床に「高齢者の摂食と嚥下訓練」 (藤谷順子, 69(5) : 407-417, 2010)が掲載されている。
要旨は、「高齢者は加齢により, および疾患や廃用症候群より低栄養・嚥下障害・誤嚥を来しやすく, 複合病態により悪循環に陥りやすい. 高齢者の嚥下障害の対応にあたっては, 嚥下訓練のみに頼らず, 栄養や全身体力, また夜間の唾液誤嚥や胃食道逆流への対応, 口腔ケアも含めた幅広い対応が必要である. 主治医には, 全体を見てマネージメントをし, 患者や家族の意向も尊重した臨床決定をしていく必要がある.」と述べている。
 文章中に注目した箇所として、「高齢者の加齢に伴う嚥下障害,しかもすでに誤嚥性肺炎を起こして消耗・衰弱している症例や,低栄養や呼吸予備能が破綻している症例において,「訓練」だけで短期間で嚥下障害が劇的に改善することには限界がある。このような症例では,療法士に「訓練」を処方する傍ら,「訓練以外」の諸条件のマネージメントを行って,トータルに,嚥下障害のその症例に与える悪影響を最小にすることを目指すということが必要である。また,食事の禁止や再開の方針,非経口摂取の選択など,命とQOLに関わる決断に携わるのも医師であり,訓練をスタッフに任せたとしてもその決断まで任せることはできない。」
 臨床現場では、セラピストに食事形態だけでなく中断後再開を即断でアドバイスを求められることも少なくない。しかし、職域をわきまえた対応をすることが重要であり、嚥下障害は生命に直結する障害であるため、軽々しい判断をしないことが重要と言える。

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