気管切開患者への摂食・嚥下リハビリテーション

柳川リハビリテーション学院・福岡国際医療福祉学院 紀要に「気管切開患者への嚥下に対する訓練および評価上の問題点* ―脊髄小脳変性症における検討―」(佐藤伸宏, 6 : 66-70, 2010)が掲載されている。
要旨は「今回, 気管切開をしている脊髄小脳変性症の症例に対して, 気管切開孔の閉鎖を念頭にいれた嚥下訓練を実施した. 口唇・舌の運動機能の低下による食塊形成の不良, および, 食塊の保持に障害がある本症例において, 気管切開による影響で, 咽頭期嚥下に障害が生じた症例を経験した. また, 下気道保護の目的でカフなしカニューレからカフ付きカニューレへの変更が余儀なくされた. 本症例の問題点は(1)気管切開が嚥下やコミュニケーションに多大な影響をおよぼす, さらに, (2)検査, 訓練内容の制限, (3)誤嚥や呼吸困難の危険性, などである. 気管切開の症例に対し評価・訓練を行う上での言語聴覚士の役割, および今後の課題について検討を加えた.」と述べている。
 内容は症例報告とカフなし、カフ付カニューレの特徴が記載されている。実際、臨床例では何らかの理由により声帯正中固定となり、気管切開術が施行される例もある。今回の記載には無いが、カニューレ装着後の症例では、痰量の増加もみられる。痰の咽頭貯留対応も気管切開患者への嚥下リハビリテーションにおいて重要と考える。

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