口腔期のリハビリテーション

Dental Medicine Researchに「舌・口底癌治療後の舌機能障害に対する舌接触補助床について」 (高橋浩二, 30(3) : 253-258, 2010)が掲載されている。
要旨として「 舌接触補助床(palatal augmentation prosthesis:PAP)は上顎に装着する口蓋部を肥厚させた形態の装置で, 舌癌, 口底癌などの切除術, 再建術後の舌運動障害患者に用いられるほか, 脳血管障害, 神経筋疾患に起因する舌運動障害患者などに適用される.
 本装置は平成22年度診療報酬改訂により新規の摂食・嚥下リハビリテーション医療技術として保険収載され, 「嚥下機能療法にともなう舌接触補助床とは, 脳血管疾患や口腔腫瘍等による摂食機能障害を有し, 摂食機能療法を現に算定している患者に対して舌接触状態等を変化させて摂食・嚥下機能の改善を目的とするために装着する床または有床義歯形態の補助床をいう.」と述べられている。
 内容では、舌・口底癌術後に生じる、構音・嚥下両面で障害が生じることを述べている。ここで違う側面から考察すると、術後の疼痛管理も重要な構音・嚥下機能回復要因と考えられる。実際、手術により、口腔再建が可能となっても、術部の疼痛があれば、発音意識や摂食意欲に結びつかない可能性がある。日本でSWAL-QOLを使用した文献は少ないが、機能面だけでなく、心的影響からの構音・嚥下障害も考える必要があると考える。

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