Risk management in tracheal suction

理学療法に「気管吸引におけるリスク管理」 (俵祐一, 28(2) : 353-356, 2011)が掲載されている。
 要旨は「気管吸引は盲目的に行われるため, 実施の際は, 低酸素血症や不整脈, さらには感染や呼吸困難などさまざまな合併症が発生するリスクがある.そのため, 気管吸引実施前後に適切な評価を行う必要があり, ガイドラインで推奨する手順を遵守し, 実施中のモニタリングおよび観察の徹底も重要となる. 」と述べている。
  内容のポイントは「気道分泌物の除去が不十分な場合に無気肺を起こす可能性がある.これが中枢気道で起こると窒息の恐れがあり,分泌物の移動が不十分な場合には局所的な無気肺を来す.しかし,これ以外に,過度な吸引にて無気肺を招く可能性もある.吸引により高度の陰圧が生じると肺内ガスを大量に吸ってしまい,肺胞の虚脱を来すためである.よって,適切な吸引行為の徹底はもちろんのこと,吸引行為を含めた排痰法実施の前後で聴診による評価を徹底することが重要である.」
 嚥下訓練を実施すると咽頭貯留音がある場合、聴診から痰貯留があると、吸引を容易に依頼・実施しがちであるが、無気肺にさせてしまうリスクを考慮することも大切である。重ねて話すが、言語聴覚士はカリキュラムでCCAは学習するが、胸部聴診の学習は多くないと考えられる。そのため、勤務場所で胸部聴診に詳しい理学療法士等がいたらぜひ、教わることを勧めたい。
 もちろん私自身も学習したいと思う。

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