中学生に対するBLS教育の普及と課題

来月AHA BLSヘルスケアプロバイダー更新の時期を迎える。何か情報をと探していたら以下の文献をみつけた。
日本臨床救急医学会雑誌に「中学生に対するBLS教育の普及と課題」 (大野裕一, 豊田麻里, 京野俊二, 三浦徹, 大久保真, 山本隆, 椎名義明, 峯岸和夫, 榎本幹雄, 木津雅晟, 14(1) : 45-52, 2011)
 要旨として「応急手当普及啓発活動は, 全国各地で行われている. しかし, 中学生に対して, 継続的に行っている自治体は少ない. そこで当市では, 平成20年度より市教育委員会と消防本部が協力して, 市内すべての中学校に対するBLS教育を継続事業として始めた. 対象は, 市内すべての中学2年生としている. 生徒にとって, 命の現場で働く者から教育を受けることは, 新鮮であり有意義である. しかし, 教育という観点からすると, 教諭との協力は不可欠である. また, 学校教育におけるBLS教育は, 技術体得だけが目的ではない. BLS教育を通じて, 道徳的教育を担っている. 従来の成人対象の各種救命講習を行うのではなく, 対象者の特徴をよく理解し, 工夫する必要がある. 伝統ある消防が行ってきた普及活動のノウハウを生かしつつ, 教諭と協力して質の高いBLS教育を組織的に行っていくことが, これからの本国の課題である. 」と述べている。
 この文献の中で、「中学生は周囲が声をかけないとき自分も声をかけない意見が多かった」ことを述べている。理由として,中学生は「他の人が声をかけないから,自分も声をかけにくいがもっとも多く,声をかけられないと答えた190人中72%(137人)であった」と述べている。
 タイトルをみた感想として、中学生からBLS教育を開始するのは時期尚早と考えたが、文献を読んでみると、中学生といった早期から人格形成や生命の大切さを感じることは重要と考えられた。
 私自身、急変時の患者生命を守るため、適切に周囲へ声かけできるBLSヘルスケアプロバイダーでありたい。

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