摂食・嚥下障害スクリーニング

老年精神医学雑誌に「加齢性変化と摂食・嚥下機能の評価」(弘中祥司, 20(12) : 1352-1362, 2009)が掲載されている。
要旨は「認知症患者の多くは, 病態の本質として先行期障害をもっているが, 同時に高齢者に発症することから, 認知症の特徴だけではなく, 摂食・嚥下器官の加齢変化について同時に考慮しなければならない. 摂食・嚥下機能の評価には, 多くの検査とスクリーニング方法がこれまでに存在するが, 患者の協力性を考慮しつつ, 正確な評価のためには, そのうちのいくつかを組み合わせて正しく評価することが重要である.」とあり、摂食・嚥下器官の加齢変化として口腔・顎では多数歯の欠如
、咀直筋の筋力低下、舌,舌筋の下垂、口輪筋,頬筋の筋力低下、口腔内感覚閾値の上昇、口腔粘膜の変化、唾液分泌量の減少、顎関節の異常、顎・舌の不随意運動(オーラルジスキネジアの出現)を挙げている。咽頭・喉頭では、咽頭括約筋機能不全、喉頭の下垂、喉頭・舌骨の挙上減少
、喉頭の閉鎖不全である。食道では食道入口部の開大不全を挙げている。
本内容のメインは嚥下スクリーニングの紹介と引用文献が記載されている。市販のテキストと重複する部分もあるが、摂食・嚥下に携わる方であれば、知っておくべき内容である。同じ検査でも指導教官によっては、若干違う内容になることも少なくない。出典を知ることで、検査の標準化を知ることができる。私にとって大変有用な文献であったと思う。

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