摂食嚥下障害と舌診

小児口腔外科に「口腔ケアの実際柿木保明, 20(1) : 65, 2010)が掲載されている。
要旨は「口腔ケアは, 従来, 口腔清拭や口腔清掃と考えられてきたが, 近年では, 単なる清掃ではなく, 口腔の疾患予防, 口腔環境および口腔機能の正常化, 口腔の健康増進, 摂食嚥下機能を含んだリハビリテーションにより, QOLの向上に寄与するものといえる.
 口腔細菌数の減少や口腔乾燥の改善, 嚥下機能の改善にも有用であり, 誤嚥性肺炎の予防にとっても, 重要な意味をもつ. とくに, 口腔が乾燥していると, 口腔内が汚れやすくなり, また, 唾液の粘性亢進は, 粘膜の感覚を低下させるために, 唾液嚥下の回数減少や誤嚥を生じやすくなることから, 注意が必要である.
 口腔乾燥のために自浄作用が低下して口腔粘膜が正常な状態と異なっている患者では, 通常の口腔ケアでは改善効果が少ないことがある. 口腔が乾燥している患者では, 唾液や粘膜, 細菌学的な観点からも配慮しながら実施することが必要で, これに口腔機能の向上を加味して行う.
  口腔ケアの方法は, 口腔粘膜の状態や, 唾液の状態, 嚥下機能の程度などに応じて選択する. すなわち, 口腔水分計や唾液湿潤度検査紙などを用いた客観的評価により, 粘膜保湿が必要と判断されれば, 保湿成分を含有した洗口剤やジェル製品を用いた粘膜保湿ケアを行う.
  これらの客観的評価は, 多職種における情報共有には有効である. また, 唾液低下による口腔機能障害や嚥下障害の改善も重要で, 舌の体操や唾液腺マッサージなども考慮する. 全身的には, 人工唾液の応用や唾液分泌改善薬の使用, 漢方薬の使用, 口呼吸に対する対応, 生活習慣や生活の背景などに対する指導などをあわせて考慮する. 口腔ケア時の観察では, とくに舌の観察が全身状態を推察するのに有効である. 舌診とよばれる手法であるが, 体質の傾向が理解できることから, 口腔ケアにも活かせる. 」
 とあり舌診は主に東洋医学で用いられており、観察ポイントは①舌の色調,②舌の形状,③舌苔の状態,および④舌の動きである。
 口腔ケアは誤嚥性肺炎予防に効果があることは理解していたが、舌診に関しては理解が乏しく、口腔内所見も口腔内乾燥や舌苔の有無程度しか理解していなかった。今後舌診に関しても理解を深めていきたい。
 

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