防災士とセラピスト

日本集団災害医学会誌に「災害時派遣医療チーム(DMAT)を中心とした地域災害医療体制充実への取り組み (武山佳洋, 小出明知, 沢本圭悟, 米田斉史, 河瀬亨哉, 益子健, 11(2) : 145, 2006)が掲載されている。
内容は、「【はじめに】当院は北海道南部, 南渡島地域の災害拠点病院として日本DMAT講習会に参加した. 講習受講者を中心とした, 地域における災害医療体制の充実に向けた取り組みを紹介する.
【方法, 結果】当院救命救急センター医師と看護師, 事務員が講習会を受講した. 看護師は独自に防災士の資格を取得し, 院内で災害勉強会を開催するほか, 市民に対する啓蒙活動を行っている. 医師は函館市地域防災計画の修正を働き掛け, 市内における災害発生時にDMATの出動が可能となるよう調整中である. また担当メディカルコントロール(MC)圏域においてトリアージや災害医療に関する研修会を開催している. 今後は院内災害訓練を企画・実施し, DMAT受講者の効率的運用が可能となるよう, 院内マニュアルを改訂する予定である. 院外においては, 市総合防災訓練への参加や市消防局との合同訓練開催を検討中である.
【まとめ】講習会参加は, 受講者の危機意識やモチベーションの向上に役立った. DMATは全国規模の災害における運用を想定し養成が進められているが, その実践的な教育内容から, 地域災害医療体制においても啓蒙活動を含めた有効活用が期待される. 国の防災基本計画の修正に伴い, 北海道地域防災計画も修正されDMATの役割が位置づけられた. 当院の所属する道南圏の災害医療体制の充実に向け, 他の災害拠点病院との連携も模索しながら, 今後も活動を続けていきたい. 」と述べている。
 今回の東日本大震災でもDMATが出動したが、基本的にリハビリテーション職種がDMATで派遣される例は少ない。そのため、私自身、直接震災場所へ派遣がなくても、何か災害医療に役立てられるものはないか探していたところ、防災士があり昨年取得した。現在、防災士取得により災害医療に直結しているかと言えば違うが、カリキュラムにハザードマップを作成する講義があり、大変参考になった。もし現地に行くことになった際、あらかじめ地形や避難場所の構造を知り適切な避難体制をとることで、被災者を一人でも減らすことができる。
 セラピストも防災士を取得することで、他スタッフへの啓蒙活動から勤務先災害予防ができると考えられる。

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