根拠のある嚥下リハビリテーション

日本耳鼻咽喉科学会会報に「 嚥下障害の保存的治療-根拠のある嚥下リハビリテーションの実践を目指して」(大前由紀雄, 114(2) : 66-71, 2011)が掲載されている。
 内容は、「嚥下リハは,主として代償法を用いた摂食訓練を通じて効果を上げており、他方では嚥下の生理学に基づいて運動負荷をかけることで嚥下機能の改善を目指したいくつかの訓練法が報告されている。その効果に対する検証も蓄積されつつあるが、嚥下リハが必ずしも医学的根拠をもって選択し実践されているとは言い難い」と述べており、効果的な嚥下リハを実施するためには,嚥下障害の病態を把握し適切な対処法を選択することが不可欠である。と述べている。
 具体的に間接訓練では
 ①障害された嚥下運動の改善や代償運動の補強
 ②嚥下反射の促通
 ③嚥下動作の協調性の回復
 ④気道防御反射の強化
を目指すこととし直接訓練では開始する判断基準を掲載している。
 ①意識障害がJCS(japan coma scale)で1桁台
 ②摂食に対する意欲がある
 ③全身状態が安定している
 ④姿勢の保持が可能である
 ⑤嚥下反射が惹起する
 ⑥口腔期 咽頭期 食道期の運動出力が生じる
 ⑦反射的あるいは随意的な咳漱反射がある
他にもあるが、嚥下リハは根拠が少ないのが現状であるが、まず誤嚥リスクを軽減したアプローチを実施し訓練の根拠を形成していく地道な方法がベストではないかと思われた。

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