災害時の運動療法

糖尿病ケアhttp://www.medica.co.jp/magazine/subscribe?id=16「災害避難生活での運動療法 理学療法士による緊急災害時の運動療法」 (星野武彦, 朝倉俊成, 5(10) : 997-999, 2008)が掲載されている。
 概要として、「災害時の運動指導のポイントは、運動の目的や効果と併せて、災害に直面したときの運動の捉え方について説明しておくことが重要」であり、「災害に直面したときの生活は、通常の生活よりも体力が必要になることが考えられる」と述べている。「特に倒壊した家屋からの生活用品の運び出しなどは、通常の糖尿病運動療法における運動量や運動強度よりもはるかに大きい」と述べており、体力は「にわか運動」では向上しないことを説明している。
 そのため、「糖尿病運動療法の継続が、災害時に必要な体力をカバーしてくれることも、指導しておくことが大切」と述べている。
 また、これとは反対に一時的な避難所生活を余儀なくされた場合では、「活動量の低下が予想
される」と述べ、からだが動かないことが原因として考えられる疾患に、エコノミー症候群(静脈血
栓塞栓症)や廃用症候群があることを説明している。解決策として、「これらの症候群については、運動不足がもたらす弊害として、日ごろから指導しておくことが重要」と述べている。
 災害時における理学療法士の活動は長期活動量低下による廃用症候群予防と考えがちであるが、この論文で述べられているように、日ごろから災害時の運動量低下も想定し運動療法継続・指導も理学療法士の重要な役目であることを再確認することができた。
 また、セラピスト全体的には平時からの使用部屋、物品の防災対応、災害を想定したアプローチを常時念頭に置くこともセラピストの役割であると言える。

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