脳卒中に関連した肺炎

雑誌「脳卒中」http://www.jstage.jst.go.jp/browse/jstroke/-char/ja/に「脳卒中に関連した肺炎」(前島伸一郎他,52-58,2011)に関する論文が記載されている。筆者らは結論に「経過中の肺炎が予後を悪化させるため、摂食管理には十分な注意が必要である.」と述べている。
 実施方法は、嚥下機能評価をJCS0~1桁台の患者にRSSTとMWSTを実施しRSST2回以下/30秒またはMWST3点以下,あるいはその両者の場合に“嚥下スクリーニング異常”としている。
その後異常群に対しVFを実施し、食形態調整を実施している。
 また、肺炎発症に関しては入院後72時間以内に肺炎を発症したものを「早期群」とし,72時間以降の発症で,経口摂取を行っていなかった「非経口群」,摂食嚥下療法介入前に経口摂取が開始されていた「未介入摂食群」,摂食嚥下療法介入後に肺炎を発症した「介入摂食群」に分類し,他に4群と肺炎を発症しなかった「肺炎なし群」を加えた5群で比較検討している。
 結果は肺炎は504例中91例(1&1%)にみられ、早期群38例,非経口群39例,未介入摂食群5例,介入摂食群9例であり、経過中肺炎を起こさなかった群と肺炎発症群の比較では,年齢神経症候,認知機能,在院日数退院時ADLに差を認めたと述べている。
 ここで考えさせられたことはVFを適切に実施していても、肺炎リスクは残存している状況を踏まえ、VF・VEを実施していない病院や施設では肺炎を起こしている割合はもっと多いことが予想できる。
 私たち摂食・嚥下リハビリテーションに携わる人は、肺炎リスクを常に考慮する必要がある。特に食形態の変更に際しては、性急な形態向上は避け段階的に食形態を変更することで、訓練・誤嚥リスクしいては肺炎リスクの軽減につながると考えられる。

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